SSブログ

【一人前の国家に】

日本の戦後.
 戦後75年、日本の外交・防衛政策は、米国の庇護の下、経済大国・軽武装を正当化する『吉田ドクトリン』を標榜して来た。
 『吉田ドクトリン』と共存するのが『ハンディキャップ国家』論。この論は、「日本は憲法上、軍事的貢献が出来ないので、そのハンディキャップは、おカネ等で御勘弁願いたい」との思考。
 しかし最近、こうした日本の『戦後レジーム』に対し、米国から強い拒否反応が示された。トランプ大統領が日米同盟の片務性に異を唱え出したのだ。

 日本が歴史上、大きな影響を受けた国の一つは米国。ペリーの来航は明治維新の導火線になったし、大東亜戦争での敗戦は安倍晋三首相の言う『戦後レジーム』を形成した。米国が対日政策の原点にしたのは、マッカーサー・ノートとそれに基づく日本国憲法だ。マッカーサー・ノートに至っては、自衛のための軍備も認めようとしなかった。

安保条約への疑問.
 ソ連崩壊後に出現したのが、『危険な台頭』を臆面もなく推進している中国であり、同時に、米国が相対的に衰退した。
 そんな米中の狭間で、「経済大国・軽武装だ」、と日本は胸を張っていていいのだろうか。日米安全保障条約で、日本が米国に基地を提供している代わりに米国は日本を守る義務がある、との無茶苦茶な論理は通用する筈もない。
 「日本が攻撃されたら米国は犠牲を払ってでも日本を守るが、米国が攻撃されたら日本は助けてくれるのかね」との指摘は、国家と軍隊の基本問題に正面から向かい合うのを避けてきた日本に突きつけられた問い掛けだ。

目指すは一人前の国家.
 米国はペルシャ湾危機に際し、関係各国に自国タンカーを守るための『有志連合構想』を提案している。
 ところが、日本の自衛隊は『有志連合構想』参加どころか、憲法上の縛りによって武力使用が制限され、攻撃されるタンカーを守り切れない可能性さえある。
 何しろ日本の自衛隊は、国軍の地位が与えられていない上、自衛隊の存在を盛ったに過ぎない憲法改正案の審議に応じようともしない野党議員が、大手を振って歩いている始末。
 日米安保条約の片務性を衝いたトランプ発言は、日本の戦後を支えてきた柱を叩き潰す効果がある。かつて、米国が日本に強制した日本国憲法は、今や、トランプ政権の対アジア戦略にとって障害と化している。
 憲法を土台にした発想の、『吉田ドクトリン』や『ハンディキャップ論』は虚言になってしまった。自民党の改憲案は、『普通の国』への一歩に過ぎず、普通の国家並みの国軍を所有するところに、新しい時代の目標は設定されるべきだ。
 日本再生のためのアイデンティティーを示す、即位礼正殿の儀・大嘗祭(だいじょうさい)・平和の祭典のオリンピック、一人前の国家を目指す改憲への道筋は整っている。

* * *

 日米同盟への疑問、中露の蠢き、朝鮮半島情勢の緊迫化、エネルギー供給の生命線『ホルムズ海峡』などの諸問題が、日本の安全保障環境上に横たわっている。
 なのに日本国憲法前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」、とある。
 本当に、このままで良いのだろうか?

★産経ニュース『【正論・令和の8月に思う】国家の基本問題から逃げ回るな』(杏林大学名誉教授・田久保忠衛氏)、(2019.8.16)、より.
★上記へのリンク https://special.sankei.com/f/seiron/article/20190816/0001.html

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。