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【習主席の傲慢】

 今年5月、北京大学構内の掲示板に、中国の最高指導者である習近平・国家主席を痛烈に批判する長い論文が張り出された。
 そこには、「毛沢東が個人崇拝を推し進めたことにより、人民は無数の災禍を経験した。にも拘わらず、習近平氏は今、個人崇拝を再び大々的に推進している。歴史的悲劇が繰り返される可能性があり、警戒を強めるべきだ・・・」と書かれ、文末には『樊立勤(ハン・リッキン)』なる署名があった。この出来事は、「壁新聞事件」と呼ばれている。
 北京大学に壁新聞が登場したのは29年ぶり。壁新聞は文化大革命(1966~76年)中、毛沢東・思想を支持する紅衛兵の団体が政治的主張を周知させる手段として広く利用された。1989年6月の天安門事件に繋がる民主化運動の際にも、壁新聞は使われた。
 しかし最近では、インターネットの普及もあり、壁新聞は殆ど使われなくなっている。

 今回、壁新聞を張り出した樊立勤は、鄧小平一派に近い体制側の人間である。文革当時、北京大学に在学していた樊立勤は、紅衛兵団体のリーダーになったが、敵対する団体から暴行を受けて足に障害が残った。
 同じく文革中に紅衛兵に迫害され、足が不自由になった鄧小平の長男・鄧樸方(トウ・ボクホウ)元全国政治協商会議副主席と長年の親友で、その関係から、鄧小平時代には政府系団体幹部などを歴任し、ビジネスの世界にも進出して成功を収めた。2007年、鄧樸方との親交を詳細に綴った回顧録を出版している。
 今回、樊立勤が北京大学に張り出した壁新聞は、習主席に手厳しい一方、「鄧小平の政策は時代に適しており、国民の支持を得ている」、などと繰り返し強調し、中国を改革開放に導いた最高実力者・鄧小平を絶賛している。

 北京の改革派知識人は、今回の壁新聞事件を「独裁体制を築こうとしている習主席に対する、共産党内の既得権益層の反発の可能性がある」、と分析している。
 昨年の党大会と、今春開かれた全人代(全国人民代表大会=国会)を通じて人事の刷新が図られ、毛沢東一派、鄧小平一派、劉少奇一派は悉く党中枢から外された。このことに対し、これまで習氏を支持していた元高級幹部子弟で構成する太子党の関係者の中に、「習氏は仲間を裏切った」、との反発が起きているという。
 習主席の独裁体制が完成すれば、太子党は特権を失うと予想する人も多い。今回の壁新聞事件に鄧小平一派が関与しているかは不明だが、今後、太子党内の反発が次々と表面化する可能性がありそうだ。
敬称略.

* * *

 中国政権内で対立する三大派閥は次のとおり。
①.共青団:「共産主義青年団」の略称で、胡錦濤・前主席や李克強・首相の出身母体。
②.江沢民派。
③.太子党:中国共産党の高級幹部の子弟等で特権的地位にいる人々の総称。世襲的に受け継いだ特権と人脈を基にして、中国の政財界や社交界に大きな影響力を持つ。

 しかし習主席は、出身母体である太子党を構成する、習近平一派以外のグループを排除し、太子党の弱体化を招いてしまった。そのため、党内からの反発が表面化しつつあり、今回の「壁新聞事件」もその一環と言えよう。
 憲法で「永久主席」を規定した如く、習主席の傲慢ではなかろうか。歴史的に見ると、「超独裁」は程なく失権している。主席も又・・・


★産経ニュース『【矢板明夫の中国点描】北京大に壁新聞 習氏を批判 共産党内の反発が表面化?』(2018.5.23)、より.
★上記へのリンク http://www.sankei.com/premium/news/180523/prm1805230005-n1.html

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【関ヶ原の「ヶ」は、なぜ「が」と読むの?】

 NHKのテレビ番組『ネーミングバラエティ』で、「“関ヶ原”などの地名に使われている“ヶ”、あれは何で“が”と読むんですか?」、と視聴者から投稿があった。

 以下、その回答(地名研究家・谷川彰英氏)。
●“ヶ”は漢字でもカタカナでもなく、唯の記号。
●漢字の“箇”を簡略化し、記号としたのが“ヶ”。
●“箇”とは、数詞に付けて物事を数えるのに用いる[接尾語]で、読みは「か」・「こ」。
●そうなった経緯 ➜“箇”の略字が“个”(読みは、「か」・「こ」)➜ それを崩して書いていくうち、➜ 何時しか“ヶ”(読みは、「が」・「か」・「こ」) となった。

 古くは、平安時代の『今昔物語集』に“ヶ”の記載がある。
 現代では、1ヶ(1個)とか、地名なら、阿佐ヶ谷(あさがや。因みに、地名の由来は「浅い谷」)などと使われている。

 数詞の接尾語である筈の“ヶ”が、なぜ地名に使われているのか?
 前記・谷川氏の答は、「簡単に書けるから」。なお、“ヶ”は唯の記号だし、地名に使ったのには特段の意味はないのだろう。

●今まで何気なく見聞きしてきたが、“ヶ”のその様な経緯を知り、思い新たに。


★NHKテレビ(2018年5月8日放送)『ネーミングバラエティ 日本人のおなまえっ! 朝ドラ・ヒロイン おなまえのナゾ』より.

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【隠れネアンデルタール】

 約3万年前に絶滅したネアンデルタール人は、現生人類(ホモ・サピエンス)よりも小脳が小さかった、と慶応大や名古屋大などの研究チームが、化石の分析で解明した。この差が、ネアンデルタール人と現生人類の交代劇に繋がったと見られる。
 研究チームは、7万~4万年前のネアンデルタール人の頭骨化石と、13万~3万年前の現生人類の頭骨化石(それぞれ4個)について、コンピューター断層撮影(CT)のデータから大脳や小脳の形を立体的に解析したところ、大脳に対する小脳の容積比は、現生人類の平均13・5%に対し、ネアンデルタール人は同12・7%と小さかった事が判明。
 小脳は主に運動能力を担うが、大きいほど記憶や言語の能力に優れ、複雑な思考が可能になる事が分かっている。
 ヨーロッパでは、約4万年前からおよそ5千年間、ネアンデルタール人が後から出現した現生人類と共存していた。その後、ネアンデルタール人は絶滅して現生人類が生き残った。
 ネアンデルタール人絶滅について、慶大の荻原直道・教授の見解は、「小脳の機能差が環境への適応能力の違いに繋がり、現生人類の生存に有利に作用した可能性がある」とのこと。

 「インターネット百科事典Wikipedia」によると、
【ネアンデルタール人の身体的特徴】
 ネアンデルタール人の脳容量は現生人類より大きく、男性の平均が1600cm3あった(現代人男性の平均は1450 cm3)。このことから、現生人類と比較しても遜色のない知能を有していたと思われる。
 現生人類と比べ、喉の奥(上気道)が短い。このため、分節言語を発声する能力が低かったと見られる。
 男性の身長は約165cmで、体重は80kg以上と推定。骨格は非常に頑丈で、骨格筋も発達していた。

【絶滅の時期】
 2014年8月のネイチャー誌に、ネアンデルタール人の絶滅は4万年前であったとする学説が掲載された。しかも、4万5千年前から5千年間、現在の欧州で現生人類と文化・技術的にも共存・交流しており、混血もしていたとのこと。

【現生人類に受け継がれた、ネアンデルタール人の遺伝子】
 2010年5月7日のサイエンス誌に、現生人類の核遺伝子には絶滅したネアンデルタール人類特有の遺伝子が1~4 %混入している、との研究結果が発表された。
 ネアンデルタール人からの混入遺伝子は、現生人類の皮膚、爪、髪形成などの繁殖に重要でない遺伝子部分に細分化されて多く残っており、白っぽい皮膚、金髪や赤毛、青い目などいくつかのコーカソイド的(コーカサス風)特徴はネアンデルタール人から受け継いだ可能性が高い。

* * *

【隠れネアンデルタール】
①.言語を発声する能力が低い ➜ 口下手。
②.小脳が小さい ➜ 運動神経が鈍い。
③.男性の身長は165cmほどで、体重は80kg以上と推定されている。骨格は頑丈で骨格筋も発達していた。
 当方、上記①・②・③全てが当てはまる。
 そこで雄叫び、「俺は隠れネアンデルタールだっ! 文句あっか? ガオーッ!

Ⅰ).ネアンデルタール人の脳容量は現生人類より大きく、男性の平均が1600cm3あった(現代人男性の平均は1450 cm3)。
Ⅱ).大脳に対する小脳の容積比は、現生人類の平均13・5%に対し、ネアンデルタール人は同12・7%と小さかった。
Ⅲ).上記ⅠとⅡから、ネアンデルタール人の大脳は現生人類より大きかった事になる。
 小脳は小さいものの、大脳は大きい。「フム、フム」
.

★産経ニュース『【科学】人類交代劇、小脳が引き金か ネアンデルタール人の化石分析』(2018.5.14)、
★上記へのリンク http://www.sankei.com/life/news/180514/lif1805140010-n1.html
★インターネット百科事典Wikipedia『ネアンデルタール人』、
★上記へのリンク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%BA%BA

より.

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【金正恩の素顔(下)】

 金正恩(キムジョンウン)委員長は経済制裁による打撃に音を上げ、先月行われた南北首脳会談に続き、6月12日予定の米朝首脳会談に乗って来たことは前回述べた。
 お膳立てをしたのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権内の従北朝鮮勢力だ。

中国の力を借りる.
 金委員長は当初、韓国の文政権を利用してアメリカを上手く騙そうとした。
 ところが、トランプ政権内の対北朝鮮強硬派への入れ替えを目にし、「韓国だけでは心許ない」と察した金委員長は、親分である中国の後ろ楯を得ようと、3月下旬、中国を電撃訪問した。
 この際、習近平・主席は金委員長に対し、尊敬語の「あなた」ではなく、目下扱いの「きみ」呼ばわりして接した。
 そこまでされても中国の力を借りなければアメリカに対抗できない、というのが北朝鮮の現状だ。

米朝首脳会談に向けての戦略.
 そうして中国の後ろ楯を得た金委員長は、米朝首脳会談に向けての作戦を練る。
 民主主義国家の大統領にとって、最大の弱点は選挙だ。
 今年11月の中間選挙を控えたトランプ政権。その支持率は余り高くない。しかしそれでも、2020年の大統領選挙では再選を果たしたい。
 そこに焦点を合わせてトランプ大統領をたらし込む、というのが金正恩・文在寅両氏の策略だろう。

 具体的には、IAEA(国際原子力機関)の査察受け入れなど、非核化に向けたプロセスを提示してトランプ大統領に得点を稼がせ、中間選挙を有利に戦えるようにしてやる。その代わりに、制裁解除や経済支援を求める。これが第一段階。
 続いて、核廃棄後に残される高濃縮ウランの平和的な使い道を、2020年までに明示すると持ちかけ、両国の連絡事務所設置と平和協定締結を要求する。これが第二段階だ。

米朝首脳会談の行方.
 米朝首脳会談に向けた両国の事前協議に於いて、北朝鮮は、アメリカの求める手法による核の全面廃棄に応じる姿勢を示しているという。
 更に、北朝鮮は、核兵器の査察にも初めて応じ、大陸間弾道ミサイルの廃棄も行う意向だという。
 一方、核の全面廃棄に要する期間や北朝鮮への「見返り」について、意見の食い違いが未だ残っており、協議や会談の行方によっては予断は許されない。
 米朝首脳会談で、金委員長がアメリカを満足させる程の非核化の意思を示さない場合、トランプ大統領は本気で、軍事オプションを取る構えを見せるだろう。
 北朝鮮が国内にある核全てを、アメリカやIAEAの管理下に置くところまで譲歩しなければ、トランプ大統領は納得すまい。北朝鮮の核を容認するとなったら、アメリカの世界戦略は崩壊してしまう。
 トランプ大統領は手を緩めずに追撃し、北朝鮮の核を完全に放棄させる必要がある。
 金委員長が非核化の具体的行動を見せるまで、アメを与えるべきではない。
 交渉に入っても、経済制裁と軍事的圧力を加え続ける必要がある。
 文政権の「金正恩救出作戦」惑わされて時間を与えてしまえば、アメリカは取り返しのつかない敗北を味わうことになるだろう。

●金委員長が核やミサイルを手放すことはあるまい。となると・・・ 若しかしたら【金正恩/終の棲家は/ロシアかな】(2017/09/30) だったりして。


★「アサヒ芸能」5.24日号『金正恩「裸の王様」の愚かなる素顔(下)』、より.

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【金正恩の素顔(上)】

金委員長のコンプレックス.
 未熟で経験のないまま最高指導者となった北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)委員長。そのために絶えず、幹部たちからバカにされている、とのコンプレックスを抱いている。
 北朝鮮の恐怖政治と核脅威による外交は、そのコンプレックスから来ている。

「独断性と短気」が特徴.
 対北朝鮮の諜報活動を行っている韓国々家情報院によると、金委員長の特徴は、「独断的で短気、現状認識が不十分」とのこと。
 例えば就任当初、食糧の増産を公約したが、後、食糧供給地である空き地への遊園地や芝生の造成に熱中するなど、ハチャメチャな独断。
 それを諫めた崔英健(サイ・ヨンゴン)副首相は、処刑されてしまった。

古参幹部に対するコンプレックス.
 2011年12月、父・金正日(キム・ジョンイル)が急死してしまった。そのため金委員長は、帝王学不十分のまま、20代の若さで最高指導者として君臨することとなった。
 金委員長は権力を掌握した直後、組織論そっちのけで、「言葉遣いは丁寧に、官僚主義はダメ」、との講話を垂れた。古参幹部に対する劣等感に苛まれ、自尊心を傷つけられるのを恐れたのだろう。
 父・正日から後見人を付託されていた、叔父・張成沢(チャン・ソンテク)の振る舞いに自尊心を傷つけられ、疑心暗鬼に陥り、2013年12月にその叔父を処刑。その後、容赦なき粛清・処刑の恐怖政治が始まった。
 異母兄・金正男(キム・ジョンナム)を中国が担ぎ出すのではないか、との疑心暗鬼に陥り、2017年2月、その兄・正男まで暗殺してしまった。

欧米文化に対するコンプレックス.
 金委員長は幼少期にスイスに留学した。そこで接した欧米文化に対してもコンプレックスを持っている。そのため、スイス製の高級ブランド品を愛用することでも有名。
 夫人は、金日成・金正日バッジも付けず、欧米ブランド品で着飾っている(【嫁さんに、頭あがらぬ、金正恩】(2017/09/14)参照)。その様を、国民は様々に噂し、エリート層は見下している。

「出自」へのコンプレックス.
 更なるコンプレックスが金委員長にはある。自身と母親の出自に対する負い目だ。
 母・高英姫(コ・ヨンヒ)は、在日朝鮮人出身だ。北朝鮮では、在日出身は最下層に属す。金正日の第3夫人である高英姫は、在日出身ゆえ、その存在は秘されている。
 国民にとって、名前も出自も分からない人物への忠誠心は持てない。
 その様な母を持った金委員長の偶像化は難しく、金正恩体制の絶対独裁制の維持に支障を来す。更には、金委員長の業績不足や能力不足が重なって、様々な問題が噴出している。

今までの「経済建設と核戦力建設の並進路線」から転換.
 このままでは経済建設での発展は無理と悟ったのか、2013年から金委員長は、核戦力(核ミサイル)建設で「業績作り」をしようとまっしぐら。
 その結果、米国を中心とした国際社会との対立により、外資導入に支障を来し、経済的な課題は何一つ解決できなかった。
 例えば、平壌(ピョンヤン)~清津(チョンジン)間の鉄道路線約720㎞に1週間もかかる、といった有り様。
 加えて、2016年の水害と翌年の干ばつにより、食糧生産も大打撃を受けた。
 「このままでは北朝鮮が干上がってしまう」、と考えた金委員長は、局面打開のため、「南北首脳会談」と「米朝首脳会談」へと舵を切った。

●まるで、コンプレックスと猜疑心の塊ではないか。
敬称略.


★「アサヒ芸能」5.17日号、『金正恩「裸の王様」の愚かなる素顔(上)』より.

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【トホホな軍隊】

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、習近平・国家主席との会談で、「核と弾道ミサイルの完全で検証可能、かつ不可逆的な廃棄を実行する」と公約し、見返りに『体制保障』と『段階的な朝鮮半島の非核化』を求めた。
 この『取引』には落とし穴がある。『段階的』とは『時間稼ぎ』を、『朝鮮半島の非核化』とは、『(核抑止力を伴っている)在韓米軍の漸減➜撤退』を意味している。
 しかし在韓米軍が撤退したのち韓国軍だけで、朝鮮戦争が終了していない(休戦中)韓国を守ることができるだろうか。

「韓国軍だけが私の悩みだった」と語る米将軍.
 1950年6月、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が突如38度線を南下・突破し、朝鮮戦争が始まった。
 朝鮮人民軍の怒濤の南侵で、米韓軍は最南端の釜山まで追い詰められたが、9月、国連軍が仁川に上陸して形成が逆転した。国連軍は中朝国境にまで北上したが、10月、中国・人民解放軍の参戦により、南方に押し戻された。

 朝鮮戦争で国連軍司令官だったリッジウェイ将軍(この後、マッカーサー元帥の後任として第2代連合国軍最高司令官になった)の回顧録には、頻繁に逃げ出した韓国軍への怒りに満ち溢れている。
 その回顧録には、『韓国軍の態度だけが私の悩みだった。進撃する中国軍は韓国軍部隊を次々と敗走させ、その度に韓国軍は、高価で補充困難な多数の(米国供与の)装備を放棄した』、また、『退却する韓国軍が放棄した装備は、肩をすくめるだけで済むものではなかった。それは完全装備の数個師団を充分に装備できた』とある。
 つまりは、人民解放軍が韓国軍から鹵獲(ろかく)した米国製の兵器で、米国の兵士が殺されたことになる。
 その様な状況になっても未だ、韓国の李承晩(イ・スンマン)大統領はメンツに固執し、「非武装の巨大な韓国の人的資源を米国の武器で武装させれば、米軍の兵員は少なくて済む」、と言い張った。
 そもそも戦争勃発時、李大統領自身が国民や将兵を置き去りにし、韓国南部へと『三十六計』を決め込んだ不適格者だった。
 一国の指導者を“先頭”に、敵前逃亡を繰り返す韓国軍の歴史を、米軍将校は戦史教育課程で学んでいる。今なお、韓国軍に不信感を抱いているのは当然だ。

逃げまくる韓国軍.
 人民解放軍は、攻撃目標を米軍・英軍・トルコ軍(国連軍)の防衛担任区域ではなく、常に弱い韓国軍の守備区域に絞り、その都度、韓国軍は総崩れ➜潰走を続けた。リッジウェイ将軍は『韓国軍はずし』さえ視野に入れていたらしい。
 戦に於いて、仮に左翼の韓国軍が防衛線を勝手に放棄すれば、右翼に陣取る友軍が脇腹を急襲される。軍事用語で『側背を衝かれる』と言い、絶対に避けねばならぬ下策中の下策だ。
 近々予定の米朝首脳会談にもよるが、万一朝鮮戦争が再開され、中国が朝鮮半島有事で米国の敵に回れば、人民解放軍と朝鮮人民軍は朝鮮戦争の時と同様、弱い韓国軍を狙い撃ちするだろう。

米大統領に「軽薄男」と呼ばれた韓国大統領.
 かつて北朝鮮が、核拡散防止条約(NPT)脱退し(2003年)、核兵器製造を公式発表した頃、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(1946~2009年)は、南北融和に向けた自主外交路線を念頭に、米国を揺さぶろうと次の様な『バランサー論』を述べた。「私たちは今後、朝鮮半島のみならず、北東アジアの平和と繁栄のため、『バランサー』の役割を果たしていく。私たちがどのような選択をするかによって、北東アジアの勢力図は変化するだろう」と。
 当時の゙ョージ・ブッシュ大統領(子)は、ホワイトハウス内で大言壮語が目立つ盧大統領を「軽薄男」と呼んでいたが、米国は盧大統領の『バランサー論』に対し、「北東アジアのバランサー論は米韓同盟と両立できないコンセプトだ」、と怒りを露わにした。
 盧政権は米国の強硬姿勢に大慌てで、対米懐柔に奔走。揚げ句の果てに、米韓自由貿易協定(FTA)締結やイラク派兵など、ブッシュ政権の主要要求を全て受諾した。
 自身の力を認識できぬ韓国の歴代政権は、同種の過ちを繰り返している。かくして、日米と中朝の間を「顔色」を見ながら行ったり来たりしている。盧・元大統領を師匠と仰ぐ文在寅(ムン・ジェイン)大統領もまた然り。

 金委員長に前のめりになっている文大統領。『日米韓vs中朝』の勢力図が、『日米vs中朝韓』の構図になってしまう可能性が無きにしも非ず。
 そうした場合、『38度線』が対馬まで下りて来る事になる。「おぉ、こわっ。」


★産経ニュース『【野口裕之の軍事情勢】米軍大将の亡霊がトランプ大統領の寝室で「在韓米軍撤退」を夜ごと囁く?』(2018.4.16)、より.
★上記へのリンク http://www.sankei.com/premium/news/180416/prm1804160008-n1.html

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【北朝鮮の「核・ミサイル問題」】

 北朝鮮が核兵器を廃棄するかも知れない、との期待が広がっている。
 しかし、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、「北朝鮮の核兵器を廃棄する」、とは一言も言っていない。
 北朝鮮の言う「朝鮮半島の非核化」とは、核兵器を廃棄すると見せ掛け、駐韓米軍の核の脅威を取り除き、米韓同盟の破棄を求めるための罠である。

狙いは、米韓同盟の破棄.
 北朝鮮が「朝鮮半島の非核化」や「体制の保障」を持ち出してきたのは、何故か。
 北朝鮮は、米軍を韓国から撤退させ、米軍からの核ミサイル等の攻撃がない旨の確証を得て、更には、韓国を軍事的手段で占領するため、「米韓同盟の破棄」を望んでいる。
 そのためには、朝鮮戦争の「休戦協定」をやめ、「平和協定」を結ぶのが第一であろう。
 北朝鮮が言う「平和協定」とは、南北が共存する「平和」を意味するのではなく、北朝鮮に対する米軍の攻撃力を行使できなくするためだ。
 米軍が撤退し、韓国軍だけで防衛するとなった場合、北朝鮮は、諜報戦で韓国々内を混乱に陥れ、奇襲攻撃をかけ、あっという間に韓国を占領し、金一族による統一が完成してしまう可能性がある。

同盟破棄への戦略.
 北朝鮮はこれまで、核開発を巡って結んだ合意を2度も反故にしたため、「合意を守らない国」と見做されている。
 そこで北朝鮮は、今までにない新たな戦略を立ててきた。
 金委員長は、親北派の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に狙いを定め、非核化ための南北首脳会談を呼び掛けたのだ。結果、文大統領は、「朝鮮半島・非核化への第一歩」、と舞い上がった。
 しかし北朝鮮の国営放送には、「非核化」なる文言は一切なかった。またしても、口先だけだったのか。
 北朝鮮が「非核化」のための首脳会談を言い出したのは、国連制裁や軍事的圧迫の効果が出てきたからだ。

在韓米軍の撤退.
 北朝鮮は、核兵器廃棄の約束の見返りに、脅威となっている米軍の核の排除を求めて来るだろう。
 そして、これら北朝鮮の要求を現実化するため、焦点となるのが「米韓軍事同盟」を破棄し、在韓米軍を撤退させることだ。
 しかしこれは、米軍にとって戦略の大転換となるため、現実的ではない。
 ところが、前のめりになっている文大統領は、これをを受け容れてしまうる可能性がある。

核廃棄の合意を守る保証はない.
 北朝鮮は従来から、「強力な軍事的抑止力を備えることのみが、戦争を防ぎ、国と民族の安全を守る」、と自衛的な核抑止力を持つ権利を主張している。
 核兵器を保有すること、核兵器大国であることが、金日成(キム・イルソン)氏から続く北朝鮮の大方針。金委員長がその大方針を転換できる訳がない。

「交渉」を時間稼ぎに利用.
 今まで、金王朝を潰せなかった主な原因は、1994年の「米朝合意」と、2007年の米韓中朝露日による「六者会合の合意」だ。
 また、金大中(キム・デジュン)と盧武鉉(ノ・ムヒョン)の両大統領は、南北首脳会談を行うなど、何かと北朝鮮を支援した。
 あの時、北朝鮮の謀略を読み、口先だけの合意などせずに制裁を継続していれば、今頃、北朝鮮の核・ミサイルに振り回されることはなかった。
 北朝鮮では今後、核・ミサイルの高度化が進むと予測される。
 2020年前後には、確実に水爆実験を成功させ、小型化にも成功するだろう。
 しかも、ミサイル弾頭部の多段化にも成功すれば、現在ある米日韓ミサイル防衛による撃墜も、困難となってしまう。

おわりに.
 この度の米朝交渉は困難だと思われる。北朝鮮が核兵器やICBMをほぼ完成させているからだ。
 焦点は、①.北の核・ミサイルの廃棄、②米韓軍事同盟の破棄だが、「核は破棄はしない」という北の本音を米国が見透かしていれば、交渉が成立するとは思えない。
 しかし、北朝鮮が欺くと分かっていても、前のめりになっている韓国が呑んでしまえば、交渉成立の可能性はある。
 例え交渉が成立しても、北朝鮮が合意を履行する可能性は低かろう。厄介な事案だ。


★「正論」6月号、『「朝鮮半島の非核化」と書いて、「米韓同盟破棄」と読む』(軍事アナリスト・西村金一氏)、より.

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