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【米国の怒り、「中国を叩き潰せ!」】

統一戦線とは.
 『ユナイテッド・フロント (United Front) 』(=統一戦線)なる言葉が、アメリカ外交政策関係者の間で頻りに口に上るようになった。『統一戦線』とは、中国共産党中央委員会に直属する『統一戦線工作部』の略称。
 現在トランプ政権は、中国に対して強硬姿勢を採っているが、同時に、中国のアメリカに対する敵意に満ちた策謀も明らかになっている。その実行主体が統一戦線である

ショッキングな報告.
 アメリカ議会が設立したシンクタンク『ウィルソン・センター』は、『アメリカの高等教育への中国の政治的な影響と干渉活動の研究』、と題す報告書を公表した。
 その調査結果は、「これまでの20年間、駐米・中国外交官らがアメリカの多数の大学で、教職員・学生・大学運営者の学問の自由を、次の様な方法で侵害した」、と以下の諸点を指摘している。

●大学が招く講演者や、催す行事について苦情を述べた。
●中国の神経を過敏ならしめる課題についての教育を止めるように圧力を掛けるか、あるいは懐柔を図った。
●中国側の要求を受け容れない場合、その大学が中国側と交わしている学生交換などの計画を中止する、と脅した。

 同報告書によると、中国側が苦情の対象とするのは、ダライ・ラマの招待・中国政府のチベット抑圧の講義・ウィグル民族弾圧の講義・台湾重視の講義・中国国内での人権弾圧や、国外での違法な領土拡張に関する講義や研究だという。
 また、「中国人外交官の中には情報機関の工作員もおり、中国の要求に応じないアメリカの学者や研究者に対し、私生活に踏み込んだ嫌がらせや威嚇行為を執った事例もある」、と記している。
 更に、アメリカの大学・大学院に35万人程いるといわれる中国人留学生の一部が、中国政府の意を受け、アメリカの大学教育や研究内容に抗議し、アメリカの学問の自由を侵害する次の様な実例を挙げている。

●「中国当局の嫌う研究や講義の中止」、「中国に関する特定の展示や行事の撤去や中止」、「中国政府が嫌う人物を招くのを中止」するのを求めた。また、「中国政府が嫌う主張をする教職員への非難」も大学に伝え、更に、「中国の政治問題についての講義で、どんな事を述べているのか」、中国大使館や領事館に定期的に通報している。

孔子学院の大きな役割.
 同報告書は、「中国人留学生のその様な言動が、アメリカの大学の教育・研究の自由への不当な侵害になっている」、と批判する。
 同報告書は更に、中国人留学生や中国大使館員らがこうした圧力を掛ける際、統一戦線の一翼を担っている孔子学院が、重要な役割を果たしている点を指摘する。
 多数の米国大学に置かれている孔子学院について、中国政府の意向を米側大学当局にぶつける事例が出ており、昨年あたりから米側の批判を浴びるようになってきた。米議会からも、孔子学院追放の声が挙がっている。
 その様な事態を受け、連邦捜査局(FBI)長官が議会で、「孔子学院に対し、刑事事件の捜査を始める」、とまで言及した。

●当ブログに、関連した話題【『孔子学院』をスパイ組織と断定、アメリカ】(2018/04/14)、がある。

中国の報復.
 ジョージワシントン大学でのダライ・ラマの講演計画や、ウィスコンシン大学での台湾政府代表の招致計画に、中国人外交官が激しい抗議を繰り返し、それぞれの大学と中国との協力的なプログラムの中止を示唆した事例などがある。
 その他の中国による報復として、アメリカの学者達に対して中国入国ビザの発給停止も示唆することも。
 アメリカの大学教職員の中には、中国政府の嫌がる事を表明すると様々な報復や非難を浴びるので、本来の意見を抑えてしまう人達もいるとのこと。
 同報告書はこの憂うべき現状を、アメリカの官民が一体となって団結し、変えていかねばならないとしている。

 中国共産党によるアメリカへの工作は、統一戦線が主役である。今や、アメリカではそうした認識と反発が急速に高まっている。

★月刊誌「WiLL」11月号『米国の怒り 中国を叩き潰せ ! 』(産経新聞・ワシントン駐在特派員、古森義久氏)、より.

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