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【中国に警戒】

 米国防総省は11月、中国軍事力に関する年次報告書を公表し、中国の核弾頭保有数が2035年に約1,500発に達する、との見通しを初めて明らかにした。
 米国とロシアに続く『第3の核大国』を目指す中国の脅威への対処は、国際社会の急務だ。
 オースティン米国防長官は12月、中国が米国の安全保障政策を左右する重大な脅威であるとの認識を改めて示した。

増え続ける核弾頭.
 米国の国防総省は2年前、中国の核弾頭数を「少なくとも200発」と推定していた。今回の報告では弾頭数を、2021年の時点で400発・2027年に700発・2035年に1,500発に増えると予測している。
 また、1基の弾道ミサイルに複数の核弾頭を積み、それぞれが別個の目標を攻撃できる『複数個別誘導再突入体』能力を備えた、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の東風41(射程1万2,000キロ)を配備しつつある。

 戦略原潜6隻による外洋での連続航行抑止哨戒も実施している。各原潜は最大で12基の巨浪2(同7,200キロ)または巨浪3(同1万2,000キロ)潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載可能という。
 更に中国空軍は、核搭載の空中発射型弾道ミサイル(ALBM)を搭載可能な戦略爆撃機H6Nを作戦配備し、ICBM・SLBM・戦略爆撃機、で構成される『核の3本柱(トライアッド)』を確立している。また、ステルス機能を有するH20爆撃機も開発中との事。
 米国に対抗して、ICBMよりも高度が低い人工衛星の軌道を通って目標を攻撃する、極超音速滑空兵器による『部分軌道爆撃』システムの開発にも力を入れている。

先制不使用放棄か.
 中国は、他国から核攻撃を受けない限り核兵器を使わない『先制不使用』を原則としているが、固体燃料式ICBMおよびサイロの整備を進めており、その事は、中国が米露と同様に、相手の弾道ミサイルが発射されたという警報発令を受け、その着弾前に反撃のミサイルを発射する『警報即発射』の態勢構築を進めている。
 米軍関係者や専門家は、中国が先制不使用原則を放棄し、より攻撃的な核態勢への転換を図っている兆候だとして警戒を強めている。

米も近代化に本腰.
 核の3本柱のうち戦略爆撃機を巡っては、無人運用も可能な世界初の第6世代戦略爆撃機、B21レイダーを2025年頃に配備する予定だ。
 ICBMについては、現在配備されているLGM30Gミニットマン3(射程1万3,000キロ)の耐用年数を延長させる一方、後継のLGM35センチネル(射程不明)を2029年頃に配備する計画を進めている。
 戦略原潜に関しても、最新のステルス性能などを備えたコロンビア級計12隻を2031年から順次就役させることを目指している。

日米同盟の深化を.
 米露の核戦力は、新戦略兵器削減条約(新START)に基づき、戦略核弾頭の配備数を1,550発以下、ミサイルや爆撃機などの運搬手段の総数を800以下に減らすよう定めている。
 一方、中国は同条約に縛られず、自由に核戦力を拡大させていく事ができる。
 将来、中国の核戦力が米国と肩を並べると、米国が日本や韓国に提供している『核の傘』の実効性に疑問符が付き兼ねない。
 米国が日本を守るために核使用に踏み切れば、中国がICBMで米本土を報復攻撃するリスクが一層高まる。そこで米国が核使用に慎重になれば、中国が『核の脅し』で勝利を得る事になる。
 現時点では、自前の核保有という選択肢を持たない日本としても、通常戦力を含めた総合的な対中抑止力の強化に向け、日米の同盟関係を深化させねばなるまい。


★産経ニュース『【米国を知るキーワード】「核の3本柱」確立 中国脅威への危機感』(外信部編集委員兼論説委員 前ワシントン支局長・黒瀬悦成氏)、(2022/12/17)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20221217-3O7N6ZPSNJOXNGUFEFLGYF3Y7A/

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