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【『夢の超音速機』の研究・開発、JAXA】

 太平洋をたった2時間で横断できる、最高速度マッハ5の旅客機の開発を目指し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が研究を進めている。
 JAXA航空技術部門・研究計画マネージャの田口秀之氏は、「技術的な見通しは立っている。(燃料が液体水素なので)二酸化炭素を排出せず、環境にも優しい」と話す。超音速飛行で問題視されていた爆発的な騒音も、それを低減する技術が、既にJAXAで実証されているから、騒音問題は解決済み。
 但し、極超音速旅客機の開発には、2兆4,000億円もの巨費がかかる見込みなので、日本単独では難しい。米国や欧州でも開発の動きがあり、国際共同開発が現実的だ。

地球のどこへでも4時間以内.
 構想によると、旅客機は100人乗りで、機体は全長約90メートル、横幅約10メートルで形状は平べったく、客席は縦横ともに10席ずつの配置となる。
 飛行高度は、空気抵抗の少ない2万5,000メートル。航続距離は9,000キロだが、更に航続距離を延ばせば、地球上の何処へでも4時間以内で到達できる。
 機体が平べったいのは『揚力』を大きくするため。主翼は、音速を超えた飛行に適した『デルタ翼』(ほぼ三角形)で、超音速旅客機コンコルドと同様、機体の後部に取り付ける。
 液体水素を燃料とするエンジン4基を搭載。燃料・液体水素の気化を防ぐため、燃料タンクは魔法瓶のような『真空断熱構造』となっている。

高温になった空気を、燃料の液体水素で冷却.
 実現の要となるのが『極超音速ターボジェットエンジン』。極超音速とは、音速の5倍となるマッハ5を超える速度を指す。
 ジェットエンジンは、空気中の酸素を使って燃料に着火するが、高速で飛行する場合、エンジンに取り込まれる空気は高温になる。マッハ5の高速飛行では、取り込まれる空気の温度は1,000度にも達する。
 この高温が制約となり、従来のジェット燃料ではマッハ3が限界だった。しかし、燃料の液体水素で、高温になってしまった空気を冷却すれば、マッハ5まで加速できる。
 現在、研究は、マッハ4の飛行環境でもエンジンが作動するか、風洞実験で確認している段階。

防衛分野でも注視.
 また、防衛省の安全保障技術研究推進制度に基づいた、『極超音速複合サイクルエンジン』の研究・開発も進められている。これは、従来のジェットエンジンと極超音速エンジンを組み合わせたもので、速度に応じて2つのエンジンを切り替える方式。日本国内の何処へでも30分以内に到達できる、という優れもの。
 昨今、ロシアや中国のミサイル開発などで、極超音速の世界が注目されている。日本が技術開発で取り残されないためにも、JAXAの取り組みは大変重要だ。

●JAXAの挑戦に、敬意を表します。


★産経ニュース『【びっくりサイエンス】 2時間で太平洋横断 JAXAが狙うマッハ5の超音速機』(2018.12.1)、より.
★上記へのリンク https://special.sankei.com/a/life/article/20181201/0001.html

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