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【ネアンデルタール人絶滅の真相】

 今から凡そ30万年前、私達ホモ・サピエンスより早くヨーロッパに進出した人類がいた。ネアンデルタール人だ。
 しかし、ネアンデルタール人は凡そ4万年前、忽然と姿を消してしまった。
 一体何故、ネアンデルタール人は絶滅してしまったのだろうか。

ネアンデルタール人の出現.
 1856年、ドイツの森林地帯で、今まで見たことのない化石が発見された。発見された土地の名前から、「ネアンデルタール人」と名付けられた。
 ネアンデルタール人の祖先は、アフリカにいた「ホモ・ハイデルベルゲンシス」で、アフリカを旅立ってヨーロッパに渡り、ネアンデルタール人となった。
 一方、アフリカに留まったハイデルベルゲンシスが、私達「ホモ・サピエンス」に進化する事となる。

絶滅の真相.
 これまで、ネアンデルタール人の絶滅については様々の原因が考えられてきたが、今回、最新の科学がその謎に挑んだ。そして、遺伝子解析から驚くべき真相が分かった。
 シベリアで発見されたネアンデルタール人一族のDNAを解析したところ、その一族は、とても近い血縁関係にあった。つまり、近親交配で集団を維持していたのだ。
 近親交配は、遺伝的多様性を弱める原因となる。遺伝的多様性が弱いと、病気に対する抵抗力が落ちて病気に罹り易い。
 ヨーロッパでホモ・サピエンスと遭遇したネアンデルタール人が、ホモ・サピエンスの持ち込んだ未知の病原菌に冒され、絶滅した可能性もある。
 近世にもその例がある。スペイン人に征服された中南米の原住民が、スペイン人の持ち込んだ病原菌により、一時、絶滅しかかった歴史がある。
 また、遺伝的多様性が弱まると出生率も低下する。出生率が低下すると、いずれ、その種族は絶滅に至る。

 遂に、ネアンデルタール人絶滅の真相が見えてきた。
 ネアンデルタール人は、過酷な環境を乗り越え、ヨーロッパやアジア、シベリアにまで居住地を拡げていった。
 狩猟民族としての優れた能力や技術が、その繁栄を支えた。
 食糧を求めて、その居住地を変えていったネアンデルタール人は、小さな集団で暮らしていた。しかしその事が、人口が減少する原因となった。
 そして、3万9千年前、遂にネアンデルタール人は絶滅してしまった。

その後.
 ところが、この話には続きがある。DNA分析から、意外な事実が分かった。
 2010年、マックス・プランク研究所(ドイツ)は、クロアチアで発見された骨から、ネアンデルタール人のDNAを復元することに成功した。ネアンデルタール人のDNA配列が、初めて明らかになったのだ。
 その結果、何と、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとは、お互い交配可能であることが分かった。
 世界中の人類のDNA情報を解析した結果、今日、アフリカ以外に暮らす人々(ホモ・サピエンス)には、ネアンデルタール人のDNAが含まれていることが分かった。その量は、2%以内。
 ヨーロッパなどで見られる色の薄い皮膚は、ネアンデルタール人から受け継いだもので、免疫システムにも、ネアンデルタール人のDNAが受け継がれている。私達ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人から貴重な遺産を受け継いでいたのだ。
 人種間の交配によって、遺伝子には多様性が生まれる。私達が今、存在しているのはネアンデルタール人のお陰かも知れない。
 ネアンデルタール人の遺伝子が我々に受け継がれていると言うことは、ネアンデルタール人が絶滅したとは言えないかも知れない。

 ネアンデルタール人の後を追うようにアフリカを旅立ったホモ・サピエンスは、やがて、ユーラシア大陸でネアンデルタール人と遭遇した。
 そして、互いの遺伝子を受け継ぐ子孫が誕生し、その遺伝子は、現在まで受け継がれてきた。
 ネアンデルタール人は、今も、私達の中に生きている。


★NHK・BSプレミアム (6/21放送)『コズミック フロント ☆NEXT「ネアンデルタール人はなぜ絶滅したのか?」』、より.

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