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【北海道・大停電の黒幕】

地震で、全道ブラックアウト.
 9月6日深夜3時8分、北海道を襲った最大震度7の地震は、道内全域をブラックアウト(停電)に陥れた。
 295万戸が停電し、発生から丸1日たっても約131万戸分しか電源は回復しなかった。完全復旧には1週間以上かかる見通し。

 道内全域の長時間に亘るブラックアウトの原因は、震源地に近い北海道電力・苫東厚真(とまとう・あつま)火力発電所(厚真町、165万キロワット)の運転停止にある。
 この火力発電所だけで道内の電力の約半分を担っていた。この発電停止の結果、電力網全体で需給バランスが一気に不安定化し、道内の他の火力発電所が次々と停止し、道内全域停電という事態に陥った。
 この様な事態を招いた原因は、強大な権限を背景に、科学的判断を避け続けている原子力規制行政にある。

北海道・泊原発.
 北海道・泊原子力発電所(泊村)の3基ある原子炉の総出力は207万キロワット。苫東厚真火力発電所の出力を補って余りある。しかし、泊原発は3・11後、一旦フル稼働運転をしたものの、2012年5月5日に定期点検に入り、今日に至るまで停止したままだ。
 今回の地震で泊村の最大震度は2であった。この程度の揺れでは、泊原発は運転できていた筈で、もし泊原発が稼働していたならば、今回の「全道大停電」を回避できた可能性が高い。

原子力規制委員会.
 3・11から7年以上も経っているにも拘わらず、未だに泊原発が再稼働していないのは何故か。そこには、東日本大震災当時の首相・菅直人氏の深謀がある。
 2011年5月、菅氏は首相の強権を発動し、首都圏に最も近い静岡県・中部電力浜岡原発の停止を強いた。
 続いて菅氏は、原発の再稼働を困難とすべく、2012年9月、それまであった原子力安全・保安院を潰し、原子力規制委員会を立ち上げた。
 「脱原発装置」とも揶揄される原子力規制委員会。その委員長に就いた田中俊一氏は、2013年3月19日、「新規制施行に向けた基本的な方針」(俗称「田中私案」)なるものを委員会に提示した。
 この文書は暴論極まりない。つまり、文書を作成した責任者の明記がなく、何ら法的根拠に基づかない、唯の私案だったのだ。
 この私案には「奸計」が巡らされていた。その最たるものが、国内すべての原子力発電所を一旦停止し、運転再開の前提条件となる安全審査を、異様に厳しい規制基準の下でゼロからやり直すというものだった。

泊原発・再稼働の障害.
 一部の原発が再稼動している中、泊原発は再稼働の見通しが立っていない。
 その最大の理由は審査の基準とすべき、地震動が中々策定されないことにある。
 基準地震動の策定の際、これまで必ず問題にされてきたのが「活断層の有無」である。北海道電力の泊原発(PWR=加圧水型軽水炉)は他の電力各社のPWRと歩調を合わせるかのように新規制基準に合わせるべく、追加的な安全対策を進めてきた。
 ところが2017年4月、規制委員会から泊原発のある積丹半島西岸の海底に「活断層の存在を否定できない」、という判断が下された。
 このことによって、泊原発の再稼働は全く先が見通せなくなり、窮地に追い込まれた。
 それは何故か。規制委は北海道電力に、「活断層がないことを証明してみよ」と迫っているのだ。これは、所謂「悪魔の証明」であり、立証不可能だ。
 つまり、規制委は規制権限を盾に、非合理極まりない非科学的なことを事業者に強いているのだ。事業者はその対応に苦慮し、多大な労力と時間を費やすことを強いられているのである。

 規制委発足から間もなく6年。原子力規制委は一体、何時になれば科学的・技術的リテラシーに欠ける集団から脱皮できるのであろうか。さもなくば、全道大停電のような悲劇が再び起きるかも知れない。言い換えれば、原子力規制自体が「社会リスクを生む」という国民に対する背信行為を、もうこれ以上許してはならない。

* * *

 東工大出身の菅 直人・元首相は当時、東工大教授の助言を聞くなどして迷判断を下し、世間の顰蹙を買った。
 今度は、同じ東工大の学者から辛辣な批判。東工大万歳 !


★iRONNA(オピニオン・サイト)『北海道地震、未曽有の大停電は菅直人にも責任がある』(澤田哲生・東京工業大学先導原子力研究所・助教)、(2018/09/07)、より.
★上記へのリンク https://ironna.jp/article/10652

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