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【本庶佑氏、ノーベル賞受賞】

ノーベル医学・生理学賞、日本人に決定.
 今年のノーベル医学・生理学賞は、免疫を抑制するタンパク質を発見し、ガン免疫治療薬「オプジーボ」の開発につなげた、京都大学の本庶佑(ほんじょ・たすく)教授(76)ら2人に授与される事となった。
 免疫力にブレーキを掛ける事なくガンを治療する、との画期的な免疫療法を確立し、ガン治療に新たな道を開いた功績が評価された。
 授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、賞金計900万スウェーデンクローナ(約1億1,500万円)が贈られる。

ガン免疫療法の確立.
 化学物質を使った従来の抗ガン剤は、直接、ガン細胞を攻撃する。これに対し、本庶氏らが開発した新薬は、免疫細胞に作用してその攻撃力を高め、ガンが生き延び・増殖するのを抑える。つまり、本来の免疫力を保全してガンと闘う、という薬だ。
 免疫力でガンを治療する考え方は以前からあったが、思うような成果は得られなかった。実は、自動車のブレーキとアクセルに例え、免疫力を強めようと幾らアクセルを踏んでも、ガン細胞が免疫細胞の免疫力にブレーキを掛け、免疫力の発揮を妨げていたのだ。
 そこで本庶氏は、免疫細胞にあるブレーキ役のタンパク質が働かないようにした。つまり、アクセルを踏むのではなく、ブレーキを外すという逆転の発想だ。
 ガンの治療は、外科手術・放射線・抗ガン剤の三大療法が主流で、免疫療法は大して役に立たないと考えられていた。ところが本庶氏らの貢献で、免疫療法が“復権”を果たし、4つ目の治療法として存在感を高めている。

 効果は驚異的で、従来の治療法では手の施しようがなかった患者に効果があったケースも出ている。行き詰まっていたガン治療の現場に、希望をもたらした意義は大きい。
 日本人の2人に1人がガンになる時代に、その克服は全人類の悲願でもある。道のりは険しいが、本庶氏の成果は、その第一歩になる可能性を秘めている。

今後の、科学・基礎研究の課題.
 2000年以降、日本人のノーベル賞受賞が相次ぎ、医学・生理学賞4人、物理学賞8人、化学賞6人と、19年間に計18人もの受賞者を輩出している。
 しかし、その受賞ラッシュを、日本の科学・基礎研究の水準の高さを示すもの、と手放しで喜ぶ訳にはいかない。イギリスの科学誌『ネイチャー』が、昨年3月、「日本の科学研究はこの10年間で失速し、科学界のエリートの地位が脅かされている」、と警鐘を鳴らしていたのだ。
 日本の科学研究を失速させた“ブレーキ因子”として、短期的な成果を偏重する科学技術政策が挙げられる。基礎研究は画期的で独創性が高い程、「何の役に立つのか分からない」ものが多い。この度の新薬開発について本庶氏は、「初めから臨床応用を考えていた訳ではなかった」と言う。
 現在の日本の研究環境は、目先の成果を追い求める余り、若い研究者の視野が狭まり、高い志を持てなくなっている。
 本庶氏によるこの度の成果は、常識に囚われない挑戦から生まれた。快挙に沸く今だからこそ、科学研究の危機を直視し、若い科学者が挑戦できる環境を整えていかねばならない。


★産経ニュース『本庶佑氏にノーベル医学・生理学賞 がん免疫治療薬を開発』(2018.10.1)、
★上記へのリンク /http://www.sankei.com/life/news/181001/lif1810010035-n1.html

★産経ニュース『【主張】ノーベル医学賞 快挙生んだ「挑戦」に学べ』(2018.10.2)、
★上記へのリンク https://www.sankei.com/life/news/181002/lif1810020006-n1.html
より.


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