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【米朝・露朝、二つの首脳会談】

米朝首脳会談、物別れ.
 第2回米朝首脳会談(ハノイ会談)は物別れに終わったが、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は、アメリカの対北強硬派を敵対勢力と見做し、「譲歩も妥協もしない」とする一方、「トランプ米大統領との個人的な関係は、敵対的ではなく立派な関係を維持している」、とトランプ氏には見え透いた友情を示した。今でも、アメリカとの首脳会談を渇望している証左だ。

 実はハノイ会談以降、北朝鮮の内部では、混乱が1ケ月以上も続いている。北朝鮮の首脳部にとって、会談が物別れに終わった衝撃は大きかった。北朝鮮『労働新聞』が、ハノイ会談の結果について報道したのは会談終了から8日後だった。噂が広まって、会談の決裂を隠しきれなくなったのだろう。
 制裁継続への不満に対して金正恩氏は、「制裁で我々を屈服させられるという誤った判断をする敵対勢力に、深刻な打撃を与えなければならない」と述べるに留まり、米国との対話そのものを否定する事はなかった。内部矛盾が高まっている中、現在の金正恩体制に交渉を遮断する余地は無いという事だ。
 その後金正恩氏は、3回目の米朝首脳会談への意欲と、「今年末まで忍耐力を持って米国の勇断を待つ」との交渉期限を示している。交渉決裂を回避し、当面の時間稼ぎをしようという魂胆が透けて見える。

米朝決裂 → ロシアに接近.
 制裁圧力による政権内部の不満の高まりや、食糧不足による飢饉発生への懸念が強まっている現在の北朝鮮。
 その様な状況下、金正恩体制の今後の出方として、国内の沈静化を図りつつ、対外的にはアメリカを牽制するため、ロシアなどとの関係強化が取り沙汰されている。

露朝首脳会談.
 ロシアのプーチン大統領と北朝鮮の金正恩委員長が、昨日(4/25)、ロシア極東のウラジオストクで初の首脳会談を行った。
 プーチン氏は、北朝鮮の非核化への“努力”を評価し、非核化実現に先立つ体制存続の保証や様々な制裁の緩和が必要だとする、北朝鮮側の主張を支持する姿勢を示した。
 金正恩氏も、「両国関係の強化は確固たる戦略方針だ」、とロシアとの対話を継続する意思を表明。露朝の共闘姿勢が鮮明になった。

 会談後、単独で記者会見したプーチン氏は、北朝鮮が完全な非核化を決断するまで、現行の制裁維持を強調するトランプ政権を牽制した。また金氏から、会談内容を米国に伝えるよう依頼され、承諾した旨も明らかにした。
 ハノイ会談は物別れに終わったが、北朝鮮はロシアを介し、米国に自身の主張の正当性を訴え、体制保証や主要制裁の緩和に繋げたい狙いが伺われる。ロシア側にも、朝鮮半島問題への関与を深める事で、国際的影響力を高める狙いが見受けられる。
 プーチン氏は、朝鮮半島を縦断するガスパイプライン建設・鉄道連結・北朝鮮労働者の受け入れ問題などについても、金氏と協議した旨を明らかにしたが、何れも制裁緩和が前提である。今後、国際社会に緩和の必要性を訴えていくだろう。


★産経ニュース『【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】混乱続く北朝鮮 米朝会談物別れの衝撃は大きかった』(2019.4.16)、
★上記へのリンク https://special.sankei.com/a/international/article/20190416/0001.html

★産経ニュース『【露朝首脳会談】「体制の保証が必要」金正恩氏との初会談でプーチン氏、共闘姿勢鮮明に』(2019.4.25)、
★上記へのリンク https://www.sankei.com/world/news/190425/wor1904250035-n1.html
より.


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