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【露朝・首脳会談の意義】

 今回の露朝・首脳会談で、金正恩(キム・ジョンウン)委員長とプーチン大統領の利害が一致した。
 ロシアが参戦したことで、非核化に向けた交渉プロセスは『日米』VS『中朝露韓』の構図が鮮明となり、ハノイでの米朝首脳会談で失態を見せた金正恩外交は、一旦、失地回復した格好だ。

ロシア、仲介役に.
 プーチン氏は首脳会談後の記者会見で、「非核化には、北朝鮮の体制の安全の保証が必要だ」と強調し、「圧力は効果がない。北朝鮮は安全だと感じない限り、草を食べてでも核の計画は放棄しない」、とも述べた。
 プーチン氏の記者会見は、殆ど金正恩氏の主張の代弁だった。北朝鮮に同調する立場を表明し、更には、「金正恩氏は、自分の立場について米側に伝えてくれるよう我々に求めた。この問題は中国指導部とも話し合い、米国の友人とも話し合う」と、仲介役になる点も明言した。

プーチン氏の狙い.
 またプーチン氏は、6カ国協議再開の可能性にも言及した。金正恩氏が「米朝協議だけでは『安全の保証』が担保されていない」、と主張しているためだ。
 ロシアは今回の首脳会談前から、6カ国協議の再開に前向きだった。朝鮮半島に影響力を保持したいロシアには、今回の首脳会談を機に、米国と貿易摩擦を抱える中国に代わる主要プレーヤーに躍り出たい、との思惑が透けて見える。米朝の仲介者が、当てにならない文在寅(ムン・ジェイン)氏からプーチン氏に替わった、とも言えよう。

金正恩氏の狙い.
 一方、金正恩氏の狙いは『段階的な制裁解除』の実現だ。国際社会からの長期に亘る制裁に耐えかね、核施設の廃棄などに見合う段階的な制裁解除を切望している。
 露朝・首脳会談のキーワードは、次に示す『安全の保証』で、
①金正恩氏による独裁体制の存続を認め、②軍事攻撃を行わず、③政権転覆を企てない、
等を米国が保証する事。
 米国は既に、昨年のシンガポールでの米朝首脳会談で金正恩体制の存続を認めているが、金正恩氏側は信用していない。米国が非核化に関し、完全な『武装解除』の先行を求めているからだ。

 米国に不信感を持つ金正恩氏にとって、今回の首脳会談での収穫は、プーチン氏との連帯を確認できた事だろう。
 しかし、米国は多国間協議を望んでおらず、6カ国協議の再開に応じる可能性は低い。中国という後ろ盾に加え、ロシアからも支援の言質を引き出した金正恩氏だが、北朝鮮の非核化への意志を疑問視するトランプ氏との対立構図は、むしろ深まったと言えよう。

●先日(5/4)の短距離ミサイル発射は、制裁に困窮する北朝鮮の『トランプ大統領への秋波』、謂わば『国家間のストーカー行為』ではなかろうか。


★産経ニュース『【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】仲介者は文在寅氏からプーチン氏に交代、金正恩氏は失地回復か』(2019.4.30)、
★上記へのリンク https://special.sankei.com/a/international/article/20190430/0001.html

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