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【『診療看護師』の導入を】

医療現場の問題.
 新型コロナ禍で、医療現場は飽和状態にある。
 経済協力開発機構(OECD)が纏めた平成29年の調査によると、人口千人当たりの我が国の医師数は2・4人、看護師は11・3人。当時のOECD加盟国36カ国中、医師数は32位、看護師数は10位。
 高齢化に伴う医療需要の急増・多様化を考慮すると、このままでは医療の逼迫は更に進むだろう。

その対策『診療看護師』.
 その対策として、ナース・プラクティショナー(NP=診療看護師)という新たな資格制度の導入が、米国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・オランダ・アイルランド・シンガポール等に広がっている。
 我が国では医師法の定めで、看護職は医師の判断・指示がなければ医療行為を行う事ができない。しかし看護師が、自らの判断で裁量できる医療行為の範囲を広げる事で、医師・看護師不足の緩和が図れる。国民に対する医療サービスが強化されるばかりか、医師の負担軽減にも繫がる。

無医地区・高齢者医療にもメリット.
 更に、全国で約600カ所に上る無医地区には、半径4キロ以内に50人以上が住んでいるのに、近隣に医療機関がない。人は医療がなければ生活に支障を来す。訪問看護ステーションは、全国に約1万3,000カ所に整備されているが、医薬品の処方が認められるだけでも無医地区の医療は大きく前進する。
 診療看護師制度が導入されれば、そうした流れを後押しし、高齢者にとって何よりも必要な“診てくれる人”との対話も生まれる。政府が目指す地域包括ケアシステムの構築にも繫がるだろう。

日本看護協会・日本財団・笹川保健財団もバックアップ.
 日本看護協会も昨年9月、自民党看護問題小委員会宛てに『ナース・プラクティショナー(仮称)制度の創設に関する要望書』を提出、世界標準に沿った本格的な資格制度の創設を求めている。
 日本財団も笹川保健財団と協力し、米国・カナダの大学院の修士・博士課程への留学を希望する看護師に、年間1,200万円を支援する奨学金を立ち上げた。予定では10年間で100人に、先進的な看護技術を身に付けて大いに活躍して欲しい、とのこと。

 医療現場で働く看護職は、平成28年現在で166万人、うち看護師は121万人で、90%以上を女性が占める。診療看護師制度の普及は、ポストコロナの時代の女性の社会進出にも繫がるだろう。

* * *

 厳しいコロナ禍、医師の指示も不完全になり勝ちだろう。医療の現場を熟知しているのは看護師さん達である。医師の補助的立場から解放された診療看護師さん達は、一層、頼もしい存在となるであろう。


★産経ニュース『【正論】診療看護師制度の導入を目指せ』(日本財団会長・笹川陽平氏)、(2021/8/24)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20210824-UTR4VULGSZIQHGGY2K5QBYIY6E/

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