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【通州事件(2)】

 以前、当ブログで【通州事件】(2012/2/14) について記した。
 最近(7/28) 産経ニュースに、視点を変えた通州事件についての記事が載っていたので、再び当事件を取り上げたい。

酸鼻を極めた蛮行.
 青竜刀と銃剣で武装した3千人の反乱部隊は、午前零時を期して5つの城門を閉鎖し、電話線も切断し、城内を密室状態にした上で凶行に及んだ。
 初めに日本軍守備隊、特務機関、警察署などを襲撃し、次いで日本人が居住する民家や旅館を襲った。
 日本人家族を残らず路上に引き出して全裸にし、書くのもはばかられる様な撲殺・強姦・陰部刺突・眼球を抉(えぐ)り取り・四肢切断・内臓引き出し等、酸鼻を極める蛮行の限りを尽くした。
 米人ジャーナリストのF・V・ウイリアムズは、「古代から現代までを見渡して、最悪の集団屠殺として歴史に記録されるだろう」(『中国の戦争宣伝の内幕』)と書いた。
 詩人・西條八十は、「通州の虐殺 忘るな七月二十九日!」と題する詩を書いた。

忘れ去られた『通州事件』
 しかし戦後の日本人は、通州事件を歴史書に適切に記録する事もなく、忘却の彼方に追いやってきた。
 ところが近年、中国の軍事的脅威が語られる様になり、また、国内に居住する中国人も80万人という現実の中、通州事件を無視する事は許されない状況になってきた。

反乱の兆候を見逃す.
 今日、通州事件について考えるべき点は、何故、日本人が虐殺される事件を防げなかったのかという点だ。
 事件は2年前から計画され、首謀者の保安隊第一総隊長・張慶余は、国民党軍から資金提供を受け、反乱の機会を覗っていた。保安隊の中には、中国共産党の活動分子もいた。

 反乱の兆候はあった。当時、支那人達の間では、「日本人皆殺し、日本人ぶち殺せ」とか、「日本人は悪魔だ。その悪魔を懲らしめるのは支那だ」、という世論が高まっていた。
 ところが、このような空気の変化を、日本軍や日本人は知らない。
 中国人と結婚して現地に住む日本人妻(佐々木テン)が、何度も紙に事情を書いて、軍や日本旅館に投げ入れていたが何の反応もなかった。

 当時、通州は日本人にとって最も安全な地とされ、戦火を逃れようと北京から避難して来る人もいた程だ。日本軍の通州特務機関長も、反逆者・張慶余の甘言と面従腹背を見抜けず、欲しいままに操られていた。
 通州事件における現地日本軍当局者の警戒心の欠如と失態は、安倍元首相を狙った凶弾を防ぐ事のできなかった、現代日本人の愚昧と不手際に通じるものがある。

度外れの美徳.
 あれ程の所業をなした中国人に対する日本人の対応だが、当時、日本統治下に暮らしていた6万人の中国人のうち、誰一人として事件の報復を受けた者がいない。
 それどころか、横浜の中華街では、中国人を護るための自警団が組織された。現地・北京でも凶行を働いた末に流れてきた保安隊員に食事を与え、教え諭す日本人がいて、朝鮮人から「やりすぎだ」と批判される事例すらあった。こうした事を、日本人の崇高な精神性を表す美徳として私たちは誇りにすべきだろうか。

 私(筆者・藤岡氏)の考えは「否」である。これは国防上極めて危険な事である。何故なら、日本人はどんな目に遭わせても、絶対に反撃しないと相手に信じ込ませるからだ。度外れの美徳はもはや悪徳である。相手の攻撃性を抑止するには、こちらも牙を持たなければならない。この国際標準に合わせるよう、日本人は意識的に努力して自己改造せねばならない。

 5月に東京で、佐々木テン(通州事件の目撃者)を主人公とする、通州事件を題材にした演劇が初めて上演された。
 観劇したある女性は、次の感想を書いている。「日本人の優れた人間性がアダになるとは!世界にも稀な心優しき日本人・日本民族を守る手段を何処に見いだせばよいのか。抑止力としての核武装しかないのでは」。

●何度聞いても、気分の悪くなる蛮行なり。しかし、中国人への復讐皆無・牙を持て・核武装などの言葉。時代の流れか。


★産経ニュース『【正論】通州事件はなぜ防げなかったのか』(新しい歴史教科書をつくる会副会長・藤岡信勝氏)、(2022/7/28)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20220728-HYGCAYU3WBJWZPGLK3W5NLHYYI/

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