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【広辞苑=「台湾は中国の一部」、ではないっ!】

 日本と中国の国交が樹立されたのは、1972年9月の日中共同声明によってである。
 この声明について、岩波書店『広辞苑』は当初(91年の第4版第1刷)、「一九七二年九月、北京で、田中角栄首相・大平正芳外相と中国の周恩来首相・姫鵬飛外相とが調印した声明。日中の国交回復を表明した」、と淡々と書かれていた。

≪中国の26番目の省として記載≫
 しかし98年の第5版では、台湾の帰属先を中国と明記した。
 「台湾は中国に帰属する」、とは日中共同声明の何処にも記されていない。
 「日本李登輝友の会」は訂正を求め、岩波書店は2011年の第6版の重版で、「中華人民共和国を唯一の正統政府と承認し、台湾がこれに帰属することを実質的に認め、中国は賠償請求を放棄した」、とした。「実質的に」が挿入され、今年1月に発売された第7版でもこの記述が踏襲されている。
 同版の「中華人民共和国」の項目には、中国の行政区分地図が付され、台湾が中国の26番目の省、「台湾省」として記載されてもいる。
 また同版の「台湾」の項目では「日清戦争の結果一八九五年日本の植民地となり、一九四五年日本の敗戦によって中国に復帰した」、とある。
 『広辞苑』ほどの権威ある辞典は、日本語の用語の原典的な意味を持つ。事実にそぐわない解釈があってはならない。

≪領土として承認も同意もせず≫
 日中共同声明で、「台湾が中国の領土の不可分の一部である」という中国の主張を、日本は「理解し、尊重する」といっているのであり、中国側の主張を承認したのでも、それに同意したのでもない。
 日中共同声明より一足早く、72年2月に米国が米中国交樹立に関する声明を発表しており、これが「上海コミュニケ」である。この声明文の要は、「米国は、台湾海峡の両側の全ての中国人が、中国はただ一つであり、台湾は中国の一部分であると主張していることを認識している」である。ここで「認識」とは英語でいう acknowledgeであり“事実として知りおく”である。承認でも同意でもない。
 中国の主張を日本が「理解し、尊重する」は、米国の「認識している」に等しい。台湾が中国に帰属することを、『広辞苑』が言うように、「実質的に認めた」のでは決してない。

≪国際法解釈から明らかに逸脱≫
 戦後日本が国際社会に復帰したのは、1952年4月に発効したサンフランシスコ講和条約によってである。
 その発効と同時に、日本は台湾に施政権をもつ「中華民国」との間で、「日華平和条約」に調印した。その第2条は、「日本国は、台湾及び澎湖諸島に対する全ての権利、権原及び請求権を放棄する」、となっている。
 サンフランシスコ講和条約ならびに日華平和条約で、日本は台湾を放棄したのであり、『広辞苑』の「台湾」の項目のように、日本の敗戦により、台湾が中国に復帰したのではない。
 放棄した台湾がどこに帰属すべきかを云々する立場に、日本は立っていない。台湾の法的地位は未確定である。これが日本政府の変わらぬ立場である。
 台湾が中国の一部であるかの如き説明は、国際法解釈からの明らかな逸脱であり、台湾の当局と住民に対してのあからさまな非礼という他ない。


★産経ニュース『【正論】広辞苑の台湾記述は誤りである』(拓殖大学々事顧問・渡辺利夫)、(2018.2.27)、より.
★上記へのリンク http://www.sankei.com/column/news/180227/clm1802270006-n1.html

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