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【金正恩委員長、電撃訪中】

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が突然、中国を訪問した。
 「中朝首脳会談」について、中国国営新華社通信は、「(金委員長が)非核化への努力を約束した」、と報じた。一方、北朝鮮は「非核化の約束」を報じなかった。それどころか、政府の公式発表もない「冷たい中朝首脳会談」だった。
 中国の報道映像は、習近平・国家主席が余裕を持って対応し、金委員長がメモを取る姿を映し出した。この映像は「先生」のように指示する習主席の言葉に、「生徒」のような北朝鮮指導者が聞き入る姿を強調していた。

 今回の電撃訪中でまず考えるべきは、それが公式訪中か非公式訪中か、という判断だが、今回は明らかに非公式だった。
 仮に公式訪中であれば、中国は歓迎式典を行うだろうし、メディア向けに報道文も発表し、中国メディアも大きく報道していたはずである。そして最後に、中国は「お土産」を準備し、北朝鮮側はそれを誇示する。
 しかし、今回の場合、金委員長の訪問は秘密裡に行われ、北京を出発した後も公式発表は行われていない。
 中国が金委員長の訪中を北朝鮮に帰国するまで発表しなかったのは、指導者が国を空けてといると分かるとクーデターの危険があったからだ。また、列車の往来で爆破テロの恐れもあった。これは北朝鮮内部が決して安定していない事実を示唆している。

 何故、金委員長は電撃訪中をせざるを得なかったのか。
 中国政府筋によると、中国は北朝鮮に「送油施設の故障で、半年ほど原油を送れない」と通告したという。石油供給を中断したのだ。
 また北朝鮮は、米朝首脳会談の事前接触がうまくいっていない事実にも困り果てていた。トランプ米大統領が、軍事攻撃を示唆する言動を続けていたからだ。

 北朝鮮の歴代指導者は、就任前と就任後には必ず訪中していた。ところが、金委員長は就任以来一度も訪中できなかった。習主席が金委員長を快く思っていなかったことが原因らしい。
 そのため、中国は国連制裁に従い、石油供給を減少させた。その上で、北朝鮮に「非核化」を約束しないと首脳会談は難しいと伝えていたという。

 中国メディアによると、金委員長は、「非核化に努力する」と約束した。
 かつて、金日成(キム・イルソン)主席も金正日(キム・ジョンイル)総書記も用いた「朝鮮半島の非核化に努力する」なる表現は、韓国の非核化も意味する。だが、韓国に核兵器はないので実効性を伴わない。
 実は会談の中で、金委員長が一歩踏み込んで「朝鮮半島」の言葉を外し、単に「非核化に努力する」と言及したのではないか。これは、北朝鮮の非核化を約束した事に等しい。この表現は、金委員長の「最大限の譲歩」を意味している。

* * *

 しかし、金委員長はその地位にある限り、やっとの思いで手にした「核」を手放すまい。
 2018.3.28付け産経ニュースの記事に、『【北朝鮮情勢】北朝鮮・寧辺の軽水炉が試験運用開始か、隣接の黒鉛減速炉も 核兵器用プルトニウムの製造加速か』、とあるのがその証左。


★iRONNA『習近平先生の怒りを買った「悪ガキ」金正恩の大チョンボ』(重村智計・早稲田大学名誉教授)、より.
★上記へのリンク https://ironna.jp/article/9296

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