SSブログ

【中国、TPP加入申請の大誤算】

中国、TPP加入申請.
 9月16日、中国は突如、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入申請を発表した。しかしそれは、最初から無理な話。
 例えば、TPP協定には『国有企業条項』があって、加盟国に対し、国内の国有企業に対する援助を基本的に禁じている。しかし中国は、国有企業へのテコ入れをむしろ強化している。

 また、新規申請国がTPPに入るためには、加盟国全ての合意を得なければならない。
 しかし中国は、TPP加盟国のオーストラリアに乱暴な制裁関税を課している。TPP加入交渉に当たっては、中国がオーストラリアからの同意を得るのは至難の業と言えよう。

 こうしてみると、中国の加入申請は実にいい加減なのだ。
 申請に踏み切った背景には、欧州連合(EU)と合意した『EU・中国投資協定』が、欧州議会の批准凍結で難航している事や、『クアッド』という日米豪印による対中国連携の形成、更には、中国の封じ込めを念頭に入れた米英豪3カ国の連携も浮上している事もあろう。
 つまり、インド太平洋地域に於ける中国包囲網突破のために、中国は窮余の一策として『TPP加入申請』のカードを慌てて切ったと思われる。

中国に不本意な事態.
 この様な急場しのぎの措置は、逆に、中国にとって不本意な事態を招いてしまった。
 中国に触発される形で、台湾がTPPへの加入を正式に申請したのだ。中国と台湾による『TPP加入競争』の始まりである。。
 市場経済の台湾は、国有企業問題はないし、TPP加盟国との関係も良好だ。スタート時点から、台湾は優位に立っている。
 TPPの今年の議長国である日本がいち早く、台湾の申請を「歓迎」すると表明した事も、台湾にとっては追い風だ。
 そう遠くない将来、台湾が中国よりも一足早くTPPに加入する可能性が大で、それは中国にとって打撃だろう。
 台湾が中国よりも先にTPPのメンバーになっていれば、中国は新規加入のため台湾に頭を下げる、という惨めな立場に立たされる。

台湾にとって有利な点、数多.
 一方、TPP加入が台湾の国際的地位の上昇に繫がるだろう。
 更に言えば、台湾がTPPという環太平洋の主要国が加盟する自由貿易圏の一員である事は、中国が企む『台湾併合戦争』の発動を、より一層難しくするだろう。
 台湾への軍事的妄動は、自由貿易圏の破壊と加盟国全ての不利益をもたらす事で、地域的国際社会の猛反発を招くからだ。

 中国包囲網の打破を意識した中国のTPP加入申請は、台湾の加入申請を招いた事で逆に、中国自身をより一層の窮地に追い込む事となった。
 やること全てが裏目に出るのは、最近の習近平政権の宿命のようだ。
 日本を含めた自由世界の視点からすれば、台湾をTPPの一員として迎える事は、台湾の長期的平和と安定を保つ最良の方策となるだろう。

●中国のTPP加入申請は無理筋だ、という事は素人にも分かる。「何でもかんでも我を通せば、成る」、とでも思っているのかしら。


★産経ニュース『【石平(セキ・ヘイ)のChina Watch】「TPP加入申請」の大誤算』(2021/9/30)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20210930-YHXRI5XBSNJ3XCAYS3UNJSKJEY/

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。