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【CO2の出ない、アンモニア火力発電】

 国内最大級の石炭火力発電所(愛知県碧南市)で、燃料の石炭に大量のアンモニアを混ぜて燃やす、“混焼”の実証実験が始まった。
 最新鋭の石炭火力でも、液化天然ガス(LNG)火力の約2倍のCO2を排出する。
 しかしアンモニアは、燃焼時にCO2を排出せず、石炭に混ぜて利用すれば、既存の設備を生かしながらCO2を削減できる。

 アンモニアは燃焼状態が悪いと、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)が発生してしまう。
 NOxを出さないように、東北大の小林秀昭・教授とも連携し、燃焼器内に於けるアンモニア燃焼の最適な条件を導き出そうと、様々なシミュレーションを行って、試験を重ねた。
 その結果分かった事は、混焼時にアンモニアを石炭よりも先に燃やすと、NOxが発生し易くなる事だった。NOxは窒素と酸素が結び付いて発生するため、アンモニアに含まれる窒素が、空気中の酸素と結び付いてしまうのだ。
 IHIでは、NOxの低減を図った実証試験・研究の結果、実験炉ではアンモニア60%の混焼に成功。アンモニアの100%専焼に向けた開発も進めている。

 今月13日まで英国で開催された、国連気候変動枠組み条約・第26回締約国会議(COP26)では、石炭火力は気温上昇の“唯一最大の原因”、とやり玉に挙がった。
 電源の転換には大規模投資が必要で、発展途上国にとってコスト負担は重い。そうした点を考慮してIHIは、バーナーの交換だけでアンモニア発電に転換できるように開発を進めている。
 既に東南アジアからは、アンモニア発電への問い合わせが増加している。マレーシアでは、導入に向けた検討も始まっている。

 アンモニア発電は日本が世界をリードしている。「日本発の技術でカーボンニュートラルを促し、世界の脱炭素化に貢献したい」、とIHIの武田孝治・執行役員 (混焼用バーナーを担当) は力説している。


武田氏とのQ&A.
●アンモニア関連事業の拡大について ➜ 「10月からアンモニアの小規模利用が始まり、問い合わせが増えている。東南アジアを始め、インドや米国からも来ている。」

●CO2を排出しない燃料には水素もあるが ➜ 「アンモニアは水素よりも液化の手間がかからず、輸送や貯蔵が容易だ。肥料として流通網も確立されており、アンモニアの方が普及は早いと思う。」

● アンモニア以外に注力する事業は?➜ 「アンモニア以外に注力する事業として、CO2と水素から都市ガスの主成分となるメタンを製造する『メタネーション』に期待している。工場用途もあり、市場拡大が見込まれる。」

●脱炭素社会でIHIが貢献できる事は?➜ 「当社はエネルギーを扱っており、脱炭素社会の実現は使命だ。その1つの答えがアンモニアだ。」

■IHI
 株式会社IHIは、東京都江東区豊洲に本社を置く、重工業を主体とする日本の製造会社。三菱重工業・川崎重工業と共に三大重工業の一角を成している。


★産経ニュース『【脱炭素最前線】③IHI、日本発の燃焼技術を世界へ アンモニア発電の実験に貢献』(2021/11/17)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20211117-23ZF25PQXBMXJHYNXI2LOBNROY/

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