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【核武装 → 核抑止】

米国への挑戦.
 米国では最近、核論議が盛んになってきた。核兵器による攻撃・威嚇・抑止に関する議論である。原因は、ロシア・中国・北朝鮮の最近の動向である。
 これら独裁3国家が、核攻撃の可能性をちらつかせ・威嚇し・その威力を誇示している事は、核抑止の超大国である筈の米国への挑戦である。

中国、ロシアの核威嚇を教訓に.
 上記国家は同時に、日本にも核の脅威を突き付けている。
 特に深刻なのは、プーチン露大統領の核の威嚇を教訓に、中国が台湾攻撃の冒頭で、米国や日本に核の脅しをかけるという見通しである。
 ロシアが核使用を示唆し、米国はたじろいだ。バイデン政権は未だ、この脅しへの抑止・報復の策を示せないままでいる。
 中国がこの効果を学び、台湾を攻撃する際、米軍の介入を阻止するために核兵器使用の威嚇をする、という予測が米国の専門家たちの間で語られている。その代表例が、中国の軍事動向に詳しい日系米国人学者のトシ・ヨシハラ氏の分析である。

米の専門家、日本の核武装を奨励.
 米海軍大学の教授を長年務め、今は戦略予算評価センター(CSBA)上級研究員の同氏は、中国の習近平・国家主席が台湾攻撃に関し、グアム島or在日米軍基地を中距離の戦域核(中距離核)で攻撃すると示唆する事で、米軍の介入を阻止できると判断しつつあるという骨子だった。
 戦域核とは、戦術核よりも長射程(1,000~5,500キロ)の核兵器である。
 米国は戦域核レベルの抑止力を、東アジアでは殆ど保持していない。
 米国は旧ソ連との中距離核戦力(INF)全廃条約の結果、米本土から中国に届く戦略核を多数保持していても、中国への中距離核はゼロに近いままだ。
 となると、同盟国を守る拡大核抑止の効果が弱くなる。日本にとって、米国の拡大核抑止の確実性が揺らぐ危険性がある。
 この点を補う趣旨で、米国の学界では最近、日本の核武装を奨励する議論が出ている。
 東アジアの安全保障のベテラン専門学者で、イリノイ大学政治学部教授のソンファン・チェ氏が最近、「東アジアで、中国と北朝鮮という2つの敵性国家が共に核兵器の脅威を高める現状では、日本や韓国の核兵器保有を奨励すべき時がきた」、と述べている。
 チェ教授は、米国がそのために先ず、日本を優先して核兵器開発を奨励する事を提唱している。
 この意見は飽くまでも、米国に於ける民間の一部の主張である。米政府は、核拡散を防止するという態勢の基本を変えてはいない。だが、此の核論議は、変化の予兆を感じさせる。


★産経ニュース『【あめりかノート 古森義久】独裁国脅威に日本核武装論』(産経新聞ソウル駐在客員論説委員・古森義久氏)、(2022/10/23)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20221023-TF4H3YABJFOPXL46ILJJ424JWM/

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