【サイバー攻撃】
ロシアによるウクライナ侵攻以降、米軍がウクライナ支援のための『サイバー攻撃』を実施してきた。
米サイバー軍のポール・ナカソネ司令官は、「(ロシアに対する)攻撃的な作戦を実施した。攻撃・防御・情報面の作戦など、あらゆる領域で一連の作戦を実施してきた」と述べた。
サイバー攻撃は、戦闘領域で使われる、物理的破壊でない有効な武器である。同時に『諜報活動』でもある。
サイバー攻撃には、平時も有事もない.
サイバー空間には国境もなければ、平時も有事もない。時間の概念さえなく、日常静かに熾烈な暗闘が繰り広げられている。
2014年、自衛隊にサイバー専門部隊が発足した。この部隊は飽くまでも、自衛隊に対するサイバー攻撃から守るものであって、自衛隊以外へのサイバー攻撃を防護する任務はない。
また現行法制上、自衛隊は自らを守る事さえ十分にできない。
日本の『ガラパゴス』的対応.
2020年4月、河野太郎・防衛相(当時)は、サイバー空間でも専守防衛が前提で、関係する国内法、国際法を遵守するとした。
自衛隊は、原発や電力会社をサイバー攻撃から守る任務を与えられていない。
また、『物理的攻撃と同等の被害が生じるまで』自衛隊は反撃できない。
この『ガラパゴス』(孤立し、取り残された状態)的対応は、『反撃は専守防衛の逸脱』といった『専守防衛の軛(くびき)』にある。
サイバー攻撃を受ければ、平時・有事を問わず、また物理的被害の有無に拘わらず、主権侵害との前提で、即座に反撃するのが国際常識である。
最も重要な事は、相手のネットワークやサーバーに入り込んで発信元を突き止める事(アトリビューション)である。これによって敵と意図を突き止めて、反撃手段を講じて再攻撃を抑止する。アクティブ・ディフェンスという『サイバー戦のイロハ』である。
だが自衛隊は、『専守防衛』と『通信の秘密』を保障する憲法に阻まれ、この『イロハ』が実施できない。
サイバー戦の勝利 ➜ 現代戦の勝利.
防衛大綱には、「相手方のサイバー空間の利用を妨げる能力」を備える事が明記されているが、発動は有事が前提である。有事認定のような悠長な手順を踏んでいれば、迅速さが求められるサイバー戦に対応できない。
『必要最小限の態様』という専守防衛の制約も、自衛隊の手足を縛る。そもそも原発の炉心溶融のような物理的被害が生じるまで反撃しない事は、サイバー戦の敗北を意味する。
サイバー戦で求められるのは、『必要最小限の態様』ではない。迅速に『必要かつ十分』な能力でもって全力対処する事である。
これは、憲法21条の解釈変更・専守防衛の再定義が、喫緊の課題である事を意味する。
自衛隊は、アトリビューション(前記)の技を磨き、敵となり得る対象の情報を蓄えておく事が重要である。
蓄積した情報と分析結果は、有効な『武器』となる。その積み重ねこそがサイバー戦の勝利に繫がる。
サイバー戦の勝利なくして現代戦の勝利はない。アクティブ・ディフェンス(前記)の態勢構築は待ったなしの課題である。
●『日本のガラパゴス化』が勉強になった。
★産経ニュース『【正論】専守防衛では「サイバー戦」敗北』(麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男氏)、(2022/6/16)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20220616-J7UFH7HJOZLUBDO7YPG2IWMDWE/
米サイバー軍のポール・ナカソネ司令官は、「(ロシアに対する)攻撃的な作戦を実施した。攻撃・防御・情報面の作戦など、あらゆる領域で一連の作戦を実施してきた」と述べた。
サイバー攻撃は、戦闘領域で使われる、物理的破壊でない有効な武器である。同時に『諜報活動』でもある。
サイバー攻撃には、平時も有事もない.
サイバー空間には国境もなければ、平時も有事もない。時間の概念さえなく、日常静かに熾烈な暗闘が繰り広げられている。
2014年、自衛隊にサイバー専門部隊が発足した。この部隊は飽くまでも、自衛隊に対するサイバー攻撃から守るものであって、自衛隊以外へのサイバー攻撃を防護する任務はない。
また現行法制上、自衛隊は自らを守る事さえ十分にできない。
日本の『ガラパゴス』的対応.
2020年4月、河野太郎・防衛相(当時)は、サイバー空間でも専守防衛が前提で、関係する国内法、国際法を遵守するとした。
自衛隊は、原発や電力会社をサイバー攻撃から守る任務を与えられていない。
また、『物理的攻撃と同等の被害が生じるまで』自衛隊は反撃できない。
この『ガラパゴス』(孤立し、取り残された状態)的対応は、『反撃は専守防衛の逸脱』といった『専守防衛の軛(くびき)』にある。
サイバー攻撃を受ければ、平時・有事を問わず、また物理的被害の有無に拘わらず、主権侵害との前提で、即座に反撃するのが国際常識である。
最も重要な事は、相手のネットワークやサーバーに入り込んで発信元を突き止める事(アトリビューション)である。これによって敵と意図を突き止めて、反撃手段を講じて再攻撃を抑止する。アクティブ・ディフェンスという『サイバー戦のイロハ』である。
だが自衛隊は、『専守防衛』と『通信の秘密』を保障する憲法に阻まれ、この『イロハ』が実施できない。
サイバー戦の勝利 ➜ 現代戦の勝利.
防衛大綱には、「相手方のサイバー空間の利用を妨げる能力」を備える事が明記されているが、発動は有事が前提である。有事認定のような悠長な手順を踏んでいれば、迅速さが求められるサイバー戦に対応できない。
『必要最小限の態様』という専守防衛の制約も、自衛隊の手足を縛る。そもそも原発の炉心溶融のような物理的被害が生じるまで反撃しない事は、サイバー戦の敗北を意味する。
サイバー戦で求められるのは、『必要最小限の態様』ではない。迅速に『必要かつ十分』な能力でもって全力対処する事である。
これは、憲法21条の解釈変更・専守防衛の再定義が、喫緊の課題である事を意味する。
自衛隊は、アトリビューション(前記)の技を磨き、敵となり得る対象の情報を蓄えておく事が重要である。
蓄積した情報と分析結果は、有効な『武器』となる。その積み重ねこそがサイバー戦の勝利に繫がる。
サイバー戦の勝利なくして現代戦の勝利はない。アクティブ・ディフェンス(前記)の態勢構築は待ったなしの課題である。
●『日本のガラパゴス化』が勉強になった。
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★産経ニュース『【正論】専守防衛では「サイバー戦」敗北』(麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男氏)、(2022/6/16)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20220616-J7UFH7HJOZLUBDO7YPG2IWMDWE/