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【新たな『がんウイルス療法』】

がん細胞を攻撃するウイルス.
 ウイルスを使ってがん細胞を攻撃する、国内初の『がんウイルス療法』の治療薬が先月11日、厚生労働省に正式承認された。
 遺伝子工学技術で、がん細胞だけで増えるウイルスを作り、正常細胞は傷つけずに、そのウイルスに感染したがん細胞を次々に破壊していく治療法だ。
 放射線治療や化学療法などに並ぶ、がん治療の新たな選択肢として注目されている。

毒をもって、毒を制す.
 ウイルス療法治療薬の実用化は国内初。
 ウイルスは、人などの細胞に感染すると、細胞内で自身のDNAなどを合成し増殖していく。
 通常細胞は、ウイルスに感染すると体を守るために自滅する、という防御機能を備えているが、がん細胞はその機能を失っている。このため、ウイルスに対する防御力が低いがん細胞は、ウイルスが増殖するのに適している。
 ウイルスそのものが、感染したがん細胞を殺しながら腫瘍内で増殖していくウイルス療法は、ウイルスとがん細胞の持つ特性を利用した、『毒をもって、毒を制す』治療法という訳だ。
 遺伝子工学技術で改変されたウイルスは、正常細胞を傷つけず、がん細胞だけで増殖する。
 がん細胞を死滅させたウイルスは、更に別のがん細胞に感染し、これを繰り返してがん細胞を次々に破壊して行く。
 ウイルスは一定期間増えた後、体の免疫機能によって排除される。
 東大・医科学研究所の藤堂具紀(ともき)教授は、「一度再発した脳腫瘍が、その後、長期間再発しない事は通常はあり得ない。だが、ウイルス療法で誘導された抗がん免疫がうまく働いた場合、がん細胞の最後の一つまで免疫が排除し、最終的にがんが治癒する可能性がある」、と指摘する。

第3世代の治療法.
 ウイルス療法は、1990年代初頭から世界中で研究開発が加速した。遺伝子工学技術の発展に伴い、ウイルスのゲノム(全遺伝情報)を人工的に設計できるようになったため、第1世代のウイルスから始まり、徐々に安全性と抗がん効果を高め、現在は第3世代のウイルスにまで技術革新が進んでいる。
 ウイルス療法は『オプジーボ』などの免疫チェックポイント阻害薬と併用すると、免疫ががんを認識できるようになる事で、より大きな治療効果が得られると期待されている。
 前述の藤堂教授は、「ウイルス療法は、放射線治療や化学療法しかなかったがん治療の新たな選択肢だ。将来は、がんの種類に適した機能を持ったウイルスが登場し、いろいろな機能を持ったウイルスを混ぜ合わせてウイルス療法を行う時代が到来するだろう」、と話している。

* * *

 キッチンにある電磁調理器と同じ仕組みを使って、体内の臓器をピンポイントで加熱するシート状の装置を東京工業大などの研究チームが開発した。熱によってがん細胞を退治する『温熱療法』への活用が期待されている(産経ニュース より)。
 加速度的に進歩しているテクノロジー等を活用した医療技術・薬の開発で、かつての結核同様、『がん』も重篤な病気ではなくなる日も近いのでは?


★産経ニュース『【クローズアップ科学】毒を持って毒を制す がん治療の選択肢「ウイルス療法」』(2021/6/20)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20210620-X3UDUN3IJVOM3GUU5N26FUUHVA/

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