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【信ずる国は侵される】

 日本には、「戦争をしたい人間などいる筈がない。皆、平和を望んでいる筈だ」、と思い込んでいる人が多くいる。
 ウクライナが侵攻された後でも、「日本の平和は、日米同盟があるから大丈夫」、と思い込んでいる人が多いのではないか。

 安保条約は“約束事”だ。日米両国は書かれた文言を共有していても、常に認識を共有しているとは限らない。有事の際、その約束がどの程度履行されるかという具体像は、“その時”が来るまでは誰にも分からない。

バイデン政権に裏切られた中東諸国.
 米国は、常に同盟国の期待に応える訳でない。
 長年、米国を信用できる同盟国として頼りにしてきた、イスラエル・サウジアラビア・アラブ首長国連邦(UAE)といった中東諸国は近年、米国に対する失望・苛立ちを隠さない。
 米バイデン政権が彼らとの同盟関係を犠牲にし、彼らにとって安全保障上の最大の脅威である、イランとの核合意再建を優先させているからである。
 イランは、『大悪魔』である米国を打倒する事を国是とする反米国家だ。
 オバマ氏は大統領在任中に、「アメリカはもはや世界の警察ではない」と述べ、米国の安全保障上、死活的に重要な外交事案にのみ、積極的に関与する方針を示した。

 中東に関しては、イランを核武装させないため、2015年、『イラン核合意』を締結した。
 しかし核合意は、イランを非核化する役割など果たさなかった。中東の米同盟国は、その認識において一致している。
 2018年に核合意から離脱したトランプ前大統領も、そうした認識を共有していた。
 それにも拘わらず、今また核合意再建に躍起になっているバイデン政権。そうした政権に対し、中東の米同盟国の目には裏切り者と映る。
 ロシアによるウクライナ侵攻後、米国はサウジとUAEに対し、石油を増産してロシアを孤立させようとしたが、両国はそれに応じなかった。
 両国が米国からの増産要請に応じないのは、米国に対する不満がある。対イラン宥和を優先し、両国の安全保障を疎かにする米国の要請になどに応じる必要ない、という憤りの表明だ。
 UAE・バーレーン・エジプト・モロッコ・イスラエルは共に、地域安全保障のための新たな枠組み構築を目指しており、それは中東版『ミニNATO』のようになる可能性もある。

9条があれば平和は守れるとは思わない、と共産党も認めた.
 ロシアのウクライナ侵攻は、
①.国家間の約束の脆さを露呈した。
②.国連安保理常任理事国であるロシアは、自ら国連憲章を反故にした。
③.安保理は、侵略に対抗して平和を維持する、という機能を果たせなかった。
 ウクライナの安全保障は1994年、ウクライナ・ロシア、米国・英国が合意した『ブダペスト覚書』により守られる筈だった。しかしロシアはこれも反故にし、米国と英国にはロシアの軍事侵攻を止める能力がなかった。
 約束を破る事など何とも思わない独裁者の目には、約束は守られる筈だと信じ、約束したのだから大丈夫だ、と慢心するのは愚か者、にしか映らないのだろう。
 残念ながら、約束では平和は守られない。いくら崇高な理想を掲げ、入念な約束をしたところで、その価値観を共有しない者に、「侵略し易い弱い相手」と見くびられるのが関の山である。
 ロシアによるウクライナ侵攻後、「九条を生かした平和外交」を主張してきた共産党ですら、小池晃・書記局長が、「九条があれば平和は守れるとは私も思いません」、と発言するなど宗旨変えを迫られた。
 「日米同盟があれば平和は守れる」というのも、「九条を生かした平和外交」に負けず劣らず非現実的な妄想だ。

●共産党の宗旨変え。時の流れが興味深い。


★産経ニュース『信じる国は侵される…ウクライナと日本』(イスラム思想研究者・飯山陽[いいやま・あかり]女史)、(2022/4/12)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20220412-XZYCUGQVKZIYJIKKDFVNZRHFNQ/

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