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【『マクロンする』】

ウクライナ、フランスに怒る.
 ウクライナのゼレンスキー大統領が、フランスのマクロン大統領に怒っている。
 ロシア軍の侵攻をバイデン米大統領が、「ジェノサイド(集団殺害)」と呼んだ時、マクロン氏は、「言葉をエスカレートさせるべきではない」と戒めた。「ウクライナ人とロシア人は兄弟ではないか」とも述べた。
 そこでゼレンスキー氏は、マクロン氏に対し、「彼はロシアと交渉したがっている。此処に来て、自分の目で現実を見て欲しい」、と電話で直接不満をぶつけた。
 両大統領の争いは、ロシアの脅威に対する認識の違いにある。
 マクロン氏の外交努力をよそに、東西冷戦の終結後、欧州が目指した『外交による紛争解決』は、もはや通用しなくなった。

EUでは国を守れない.
 スウェーデンとフィンランド両国首脳は最近、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を検討し出した。
 北欧2ヶ国は東西冷戦後の1995年、NATO非加盟のまま欧州連合(EU)に加入した。それから27年、ロシアによるウクライナ侵攻を目にした両国は、「EUでは国を守れない」と考え直した。
 NATOとEUの最大の違いは米国の存在である。NATOは軍事同盟で、EUは元々経済共同体だという違いはある。
 だがマクロン氏は、「米国に依存しない欧州軍」の創設を目指し、EU独自の安全保障を進めてきた。北欧2ヶ国がNATO入りに動くのは、「欧州防衛には、やはり米国が必要だ」、と言っているのに等しい。

時代は変わった.
 フランスでは米ソ冷戦の最中、ドゴール大統領が米国と一線を画す独自外交を掲げた。それは現在のフランスに引き継がれている。
 しかし、ウクライナ戦争の勃発で、もはやドゴール主義は時代遅れになった。『民主主義か、強権か』、という選択の時代に変わった。マクロン氏が目指す勢力均衡や話し合い決着は、『非現実的な話』になりつつある。

マクロンする.
 ウクライナでは、「マクロンする」という新語ができた。「心配するふりをして、現実には何もしない」という意味で、侮蔑が込められている。


★産経ニュース『【緯度経度】ウクライナが示す「マクロン外交」の壁』(産経新聞パリ支局長・三井美奈氏)、(2022/4/22)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20220422-HLCGFYBWXNM5FBB4OT63V6MUMQ/

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