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【ウクライナの教訓】

核の恫喝、たじろぐ米.
 ウクライナを侵略しているロシアの『核の恫喝』に対し、同盟国・米国がたじろぎ、その頼りなさを目の当たりにした日本では、核保有が唱えられ始めた。
 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、ロシアの国防支出規模は2020年で617億ドル(約6兆4,000億円)、日本は491億ドル(約5兆1,000億円)だ。ロシアの数値が上回るが、日本とは大差ない。
 そんなロシアが戦術核兵器の使用をちらつかせ、北大西洋条約機構(NATO)を威嚇する。
 米国のバイデン大統領は、ロシアのプーチン大統領を激しく非難するものの、核超大国同士の衝突に発展しかねないと、軍事介入を避けまくっている。
 経済力では、ロシアの国内総生産(GDP)規模は2020年で1・5兆ドル弱。5兆ドル強の日本の3割程度である。

日本有事.
 中国が台湾や沖縄県尖閣諸島に軍事侵攻した場合、日本の有事である。習氏が核使用をちらつかせなくても、プーチン氏の恫喝が想起されよう。
 バイデン氏は中国による台湾への軍事攻撃の際、軍事介入するとは明言していない。
 また尖閣諸島に関しても、日米安全保障条約の対象になるとは認めているものの、日本の領土である、とは断言していない。
 核超大国対決を避けたいバイデン氏の足元を、習氏が見透かす公算がある。

『経済制裁・抑止力』の限界.
 ウクライナ戦争のもう一つの側面は、経済制裁の『抑止力』の限界である。
 ロシアの場合、ドル決済の停止・外貨準備資産の凍結・有力外資の撤退などを受け、ロシア経済の混乱が深刻化しつつある。
 中国はその点、エネルギー資源輸出国ではないが、自動車・スマートフォンを始めとする電子機器などのサプライチェーンの要になっている。
 しかも日米欧の企業は、巨大な生産拠点を中国に置き、米金融資本大手も対中投融資に邁進してきた。
 西側が対ロシアと同じように、中国に対して金融や投資などの経済制裁を加えようとしても、その返り血は夥しくなる。
 現に、それを恐れてバイデン政権は、習政権による香港の自治剝奪や人権侵害に対する金融制裁を、殆ど実施していない。

抑止効果の高い核を国産化.
 核武装と一口に言っても、NPT、非核三原則といった政治的障害を考慮する以前に、技術、生産面からみる実現性を踏まえる必要がある。
 日本政府部内では2006年、『核兵器の国産可能性について』と題する調査報告書が密かに作成された。
 その要点は、
①.小型核弾頭の原料となるプルトニウム239を効率的に作り出せる黒鉛減速炉を建設し、併せて、使用済み核燃料を再処理するラインを設置する。
②.試作までに3年以上の期間、2,000億~3,000億円の予算と技術者数百人の動員が必要となる。
 もはや日本は、経済力だけで膨張中国の脅威を抑止できないが、核は違う。日本の技術力をもってすれば、開発は十分可能だしコストも安くて済む。
編集委員・田村秀男氏.


●中国の核実験成功を受け、吉田茂氏は、池田勇人氏に核開発を迫ったという。しかし“経済優先”の池田氏は、恩師の進言を受け容れなかった。


★産経ニュース『【田村秀男の経済正解】経済主義日本の核保有は不可避か』(2022/4/16)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20220416-2FYXYWQ6LZM53M3HS6I3IC57AI/

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