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【歴史認識に風穴】

韓国人著『売国奴 高宗』
 朴鍾仁(パク・ジョンイン)著『売国奴 高宗』(ワイズマップ刊)と題した歴史モノ書籍が出版された。
 その内容は、19世紀末から20世紀初めにかけ、韓国開化期に王位にあり(最後は皇帝)、日本による韓国併合を招いた高宗(コ・ジョン) (1852~1919年)に関する記録である。
 裏表紙には「悲運の改革君主という虚像に隠された歴史の真実。外国軍隊を引き入れ民を虐殺し、ありとあらゆる税金で民を疲弊させ、国の資源を売り払って自らの金庫を満たし、革新を拒否し改革勢力を皆殺しにし、一度も戦わず国を日本に引き渡した」とある。
 また、金で官職を売る等、当時の韓国朝廷の驚くべき腐敗ぶりが詳細に記述されている。
 王妃・閔妃(ミン・ビ)も日本に暗殺された事で英雄視され、ミュージカル等で讃えられているが、本書では、高宗と共に王妃一族による権力乱用・腐敗・奢侈(しゃし)ぶり・民心離反の実態・が記されている。
 末尾には、中国・清朝末期の改革派知識人・梁啓超(1873~1929年)が残した、当時の韓国に関する次の様な一文も紹介されている。
 「日本があらゆる思案を凝らし、他国に謀(はかりごと)をした事だけが問題なのか。日本が精鋭を育て、他国を滅ぼす実力を持った事だけが問題なのか。朝鮮の人々は今日に至るまで、まだ目覚めていないのではないか。」

公式歴史観への挑戦.
 つまり今回の本は、その後の日本による支配・統治という『亡国の歴史』の原因を自らに求めようとするもので、ひたすら悪辣な日本の所為(せい)としてきた公式歴史観への挑戦である。
 実は最近、これまで韓国で信じ込まれてきた公式的な歴史観を批判し、多様な事実を紹介しようとする“自己批判本”が書店に並ぶようになっている。
 例えば、
◎『ウソの歴史と偽善の韓国社会―正しく捉える韓国現代史』(チョ・ナムヒョン著).
◎『韓国の歴史捏造―理念詐欺劇』(イ・バンジュ著).
◎『朝鮮レジスタンスの二つの顔―民族主義が隠した英雄たちの華麗な黒い歴史』(ジン・ミョンヘン著)など.
 これまでタブー視されてきた抗日独立運動家たちの実像も検証の対象にしている。

歴史認識の見直し.
 こうした既存の歴史認識の見直しは、2019年のベストセラー、李栄薫(イ・ヨンフン)編著『反日種族主義』の影響があるかも知れない。
 この本は、慰安婦問題や徴用工問題を始め、日韓の歴史問題について韓国の公式的な見方を全面的に批判しているものの、それに対する批判や反論はあっても、以前のように、編著者や出版社が攻撃され・訴えられ・社会的に抹殺、という事はなかった。

 これまで不自由であった日韓の歴史に拘わる言論・出版の空間に、風穴が開いた感じがしないでもない。

●各国の国家観に違いがあるのは当然だ。しかし感情的になったりしないで、国際法に則ったお付き合いをしたいものである。


★産経ニュース『【緯度経度】不自由な歴史認識に風穴』(客員論説委員・黒田勝弘氏)、(2022/9/23)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20220923-WOMQNWN3P5LU5C4VK5FBJLIPSE/

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