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【漂流する韓国】

 朝鮮に於ける最近三世紀の期間、貴族階級が政治的・行政的議論そっちのけで、ただ単に、尊厳や職務上の影響力のみを争って憎悪をぶつけ合う、血生臭く不毛の争いの歴史が繰り返されてきた。

韓国・歴代大統領の末路.
 弾劾により大統領を罷免された朴槿恵(パク・クネ)氏が一審判決で、懲役24年、罰金180億ウォン(約18億円)を言い渡された。
 前政権の悪を徹底的に暴き、現政権の統治の正統性の証とするのが、この国の政治の伝統だ。今年3月下旬、李明博(イ・ミョンバク)氏も逮捕された。
 独立後の韓国の大統領は、李承晩(イ・スンマン)氏以来、現職の文在寅(ムン・ジェイン)氏を除いて11人だが、その末路は、暗殺・拘束・自殺を含め、悲劇的なものが殆どである。

李朝時代から続く「党争」.
 李朝時代以来、富も名誉もその源泉は、全て中央の政治権力にあった。その権力を求めて各集団が鎬(しのぎ)を削る「党争」が展開された。
 昔から朝鮮は、文治社会だった。党争の手段は、武力ではなく儒教に基づく論理であった。自らを正統とし、他を異端として抹殺しようとするイデオロギー闘争で、怨讐と遺恨を含む党争が延々と続いてきた。

李朝の支配体制.
 李朝時代の高級官僚は「両班(ヤンバン)」と呼ばれ、難関の「科挙」に合格した一握りの秀才たちであった。この官僚群が、国王を支えて国家を統治した。地方では、長官から末端に至るまでの全ての首長が、中央から派遣される官僚によって占められていた。李朝は極度の中央集権的体制であった。
 李朝の万全な中央集権体制が500年余りの長期に亘ったので、様々な欠陥が生じた。
 その一例として、「宗族」と呼ばれる男子単系の同族的な門閥形成された。
 宗族は両班を輩出する母体で、宗族間には横の繋がりがなかった。連携なき宗族が頂点を目指して競い合い、この過程で生じた宗族間の争いは、凄まじいものであった。

文氏のポピュリズムに、未来はない.
 文大統領は、李明博氏と朴槿恵氏の旧保守政権の罪科を問うことで、自らの政権基盤の強化を狙っている。敵対勢力への政治的報復であり、李朝時代の党争への先祖返りである。
 困ったことに、韓国々民は、文氏のこの政治的姿勢を強く支持している。旧政権の権力者をバッシングする文氏の立ち居振る舞いは、国民には「悪魔ばらい」の如く映り、その姿勢に喝采を送っている。これはポピュリズムである。
 間近に南北首脳会談を、次いで米朝首脳会談を控え、韓国は正念場にある。文政権のポピュリズムに身を委ねた韓国に未来はあるのか。国民が覚醒できなければ、国は止めどなく漂流し、何処に行き着くのか分からなくなってしまう。韓国の民よ、覚醒せよ。

●現状を見るに、覚醒までには長~い時間がかかるだろう。


★産経ニュース『【正論】韓国民よ、政治危機に覚醒せよ』(拓殖大学学事顧問・渡辺利夫氏)、(2018.4.23)、より.
★上記へのリンク http://www.sankei.com/column/news/180423/clm1804230004-n1.html

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