SSブログ

【中露関係は、見せかけの友好】

 近年のロシアと中国は、米国との対立や北朝鮮の擁護などで、共同戦線を張る事が多い。
 しかし最近、ロシアのメディアから、「ロシアと中国の間の友好関係は見せかけのものに過ぎない」、との声が挙がっている。中国はロシア経済に貢献せず、むしろロシアの権益を侵食してる、との不満や警戒感からだ。

 13世紀には、モンゴル帝国(中国・元)によるロシア支配。逆に19世紀には、ロシアによる中国・清朝からの領土奪取。かくの如く、両国間には侵略や領土紛争が絶えなかった。
 しかし近年は、冷戦終結やソ連崩壊を受けて両国の関係は改善し、長年の国境紛争も解決した。
 更に現在は、共通の敵である米国の存在もあり、ロシアと中国の関係は良好。

軍事・経済で連携強化.
 今年6月の中露首脳会談で両国は、『全面的・戦略的パートナーシップ関係』を確認し、軍事・経済協力の強化を合意した。
 9月の中露首脳会談でも、両国は米国の保護主義的な貿易政策を批判したほか、北朝鮮の核廃棄プロセスへの支持を表明した。
 両国は、定期的に共同軍事演習を行う事でも合意。
 2015年、ロシアが主導する経済圏構想『ユーラシア経済連合』と、中国が主導する『一帯一路』の連携にも合意しており、両国関係は益々深まっている様にも見える。

だが実態は・・・
 ロシアのリベラル紙『ノーバヤ・ガゼータ』は、「中国の経済成長が鈍化すれば、中国政府は国民の不満を逸らし、自らの正当性を確保するため、攻撃的な外交政策に乗り出す可能性がある。例えば、シベリアや極東地域の占領などだ」、と警戒感を示している。
 実際、ロシア極東地域では、中国企業の進出・中国人労働者の出稼ぎが相次ぐ。極東に住むロシア人の人口は減少する傾向にあり、同紙は、「いずれ極東地域は、中国の支配下に置かれるのではないか」、と懸念している。ロシア側の根強い不安が感じられる。
 ロシアの有力紙『独立新聞』も、こうした中国脅威論を取り上げている。同紙は、「ユーラシア経済連合と一帯一路との連携に基づく計画は、実際には何一つ実現していない。中国によるロシアへの直接投資は、カザフスタンへの投資より少ない」、と指摘している。
 経済発展が著しいウズベキスタンや、カザフスタンなどの中央アジア諸国について、ロシアは旧ソ連の元構成国だと『裏庭』扱い。しかし中国は、中央アジアを自国に不可欠な要素と位置付けている。
 地政学的に重要な、中央アジアでの影響力を確保するため、ロシアと中国は、この地域への投資や技術供与、軍事協力の表明合戦を繰り広げており、表向きの友好姿勢とは裏腹に、現実は、協調とは程遠いのが実情だ。

●世界情勢は複雑怪奇。当方の立ち位置も、複雑怪奇。


★産経ニュース『【ロシアを読む】「友好は見せかけ」 中国のロシア侵食に批判噴出』(2018.11.15)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/premium/news/181115/prm1811150004-n1.html

nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。