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【『ぴんぴんころり』or『ねんねんころり』】

むやみに病院へ行かない.
 日本は長寿国だが、最後まで元気に長寿を全うする『ぴんぴんころり』は少なく、寝たきりの末に死んでいく『ねんねんころり』の方が多い、不健康な長寿国でもある。
 外国に比べ、日本には寝たきりの高齢者が多い。その訳は、病院の病床数の多さにある。日本では病床数がアメリカの4倍以上あり、入院期間も3倍近く長い。日本では国民皆保険制度により医療費が安く、入院費用を余り気にする事がないので退院を急がないが、アメリカは基本的に自費診療なので、経費節約のために早く退院しようとするからだ。
 高齢者は入院期間が長くなると、筋力が衰えて歩けなくなり、病院や施設でそのまま亡くなる。一般的に病床数が多い都市部の方が、寝たきり高齢者が多い傾向にある。
 病院に行って一寸でも異常が見つかると、殆どの医師は何らかの病名を付ける。つまり、病院に行けば病人となる。
 そもそも病院は、決して安全な場所ではない。EUの公式資料によれば、病院の医療事故で亡くなった人は年間約14万人にものぼり、EU域内に住む人の約53%は、「病院は危険な所だ」と認識している。
 医療事故での死亡者数が相当数いる、と推測している首都大学東京・名誉教授で医師の星旦二(ほし・たんじ)氏は、「出来るだけ、病院に行かないのがぴんぴんころりのコツ」、と言う。

 ところで歯の健康は、体全体の健康と深い関わりがある。歯周病になると、口内の歯周病菌が血液に乗って心臓に運ばれ、動脈硬化や心筋梗塞などを引き起こす。事実、歯周病の人は心疾患による死亡率が、そうでない人に比べて2~3倍高い。この事は、事前に予防しておく事が健康長寿に繫がる事を示唆している。

医師達は語る、「無駄な検査は受けないこと」
 もう一つ『ぴんぴんころり』に重要なのは、無駄な検査は受けないこと。
 新潟大学・名誉教授で医師の岡田正彦氏は、「私は医師ですが、がん検診は受けません。何故なら、過剰診断により、本来治療しなくもいい小さな病変までが、がんと診断されてしまう事があるからです。また人間ドックでは、胸部レントゲン撮影の100~1,000倍ものX線被爆があり、そのため、新たにがんが出来てしまっては元も子もありません」、と語る。65歳を過ぎたら、過剰ながん検診は避けた方が無難のようだ。

 『なんとめでたいご臨終』の著者で、小笠原内科院長の小笠原文夫氏も、「必要のない検査は止めるべきです。末期がんで余命宣告されたような患者さんにMRI検査をする病院もあるようですが、本当に必要なのか疑問です」と語る。

 前出の星氏によると、「フィンランドに於ける調査で、『健康診断を受けなかった人の方が、15年後の生存率が高かった』、という驚きのデータがあります。健康診断が無駄とまでは言いませんが、ぴんぴんころりに必要なのは、検査でなく予防です。予防の基本は、住環境の整備・万病の元である口腔内のケアなどです」、とのこと。

 神戸100年記念病院・元理事長の上羽康之氏は、「血圧・コレステロール・中性脂肪などの基準値などを気に掛ける向きもありますが、それらは、年齢・生活環境などにより変動するものです。健康診断の数値は余り当てになりません」、と指摘する。
 日本では、抗コレステロール剤の消費量が世界の5割を占めている。これは日本人のコレステロール値高いのではなく基準値が厳し過ぎ、そのために薬の消費が多くなる。なお、「コレステロール値が高い人の方が長生きする」、という論文が複数報告されている。
 中性脂肪も悪いイメージがあるが、中性脂肪は人間の活動に必要なエネルギー源となる重要な要素だ。そもそも中性脂肪の数値は、事前の食事などで大きく変動するので健康診断での、たった1回のデータだけで判断するのは妥当でない。(前出・星氏)

病院に行けば、誰でも病人.
 メタボ検診の肥満値(BMI)が高いと気に掛ける人がいる。しかし高齢者の場合、少々肥満の方が、最後まで健康の可能性が高い。その理由は、しっかりした体重のある方が、免疫を作る力が強いから。反対に、痩せている人の方が病気になり易い傾向にある。(前出・星氏)
 加齢と共に人間の体は自然と衰え、一つや二つの異常値が出るのは当たり前。検査結果に不安になって病院に行けば、立派な『患者』の出来上がり。検査を受けなければ気付かない程の身体の不調であっても、病院に行けば薬を飲む日々が始まる。そんな事になる位なら、生活習慣を見直す方が余程いい。
 問題なのは、家族自身が安心したいため、患者に検査を強いる事が多く、そのため医者も、検査せざるを得なくなる点だ。その問題点の対策は、患者自身が無駄な受診を拒否する事にある。そうすれば、めでたいご臨終を迎えられるだろう。(前出・小笠原氏)
 長生きにこだわる余り、医療に頼り過ぎると本当の幸せが逃げていく。

●共に面白いネーミングだ。『ねんねんころり』の方だが、子守唄が想起されて『眠る様に逝く』、に通じる様な気がしないでもない。


★「週刊現代」6/1号『ぴんぴんころりのコツは 病院に行かない、検査をしない』より.

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