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【袖にされた中国】

米露首脳会談.
 今月16日、バイデン米政権発足後、初の米露首脳会談がスイスで行われた。
 共同声明では、『戦略的安定』に資する対話の開始を表明した。
 会談前には『最悪』だった米露関係は、これで改善されよう。しかし、これを不安視する国があった。それは中国。

 会談前日の15日、中国の趙立堅・報道官は記者会見で、「中露の団結は山のように強固で、友好は堅牢だ」と強調する一方、「中露関係を破壊しようとする策謀は、その目的を果たすことはないと忠告する」、とも述べた。
 『中露の団結と友好』を殊更に強調して見せたのは、むしろ中国側の『自信の無さ』の表れではなかったか。

『四面楚歌』の中国.
 昨年あたりから中国は、日・米・豪・印・環太平洋諸国(カナダ等)と、悉く対立を深め、人権問題では欧州諸国とも対立している。
 こうした中で、中国にとって従来から良好な中露関係が、より一層の重要性を増し、最大の友好国・ロシアこそが、中国を孤立状態から救い出す救世主のような存在だった。
 そして中国は、軍事同盟の締結までを視野に入れ、旧友のロシアとの関係を更に進化させようと考えていた。
 今年2月、中国の王毅外相は、ロシアのラブロフ外相との電話会談に於いて、「軍事同盟も含めた深い同盟関係をロシアとの間で構築していきたい」、との強い意欲を示した。

冷淡なロシア.
 しかし、ロシアの態度は実に冷淡であった。
 今年4月、ラブロフ外相は、中国との軍事同盟締結の可能性をきっぱりと否定した。その後も、両国関係を同盟関係へと進化させる可能性を重ねて否定している。
 ロシアと同盟を結んで欧米と対抗する、という習近平・政権の“戦略”は結局、ただの『片思い』に終わってしまった。

 そんな中、よりによって『盟友』のプーチン露大統領が、習主席の頭越しに『敵方』のバイデン大統領との関係改善を図った。習主席と中国側の挫折感・失望感の大きさは推して知るべし。
 もちろん米露間の関係改善はそう簡単にいかないし、プーチン大統領はアメリカとの対話を進めながら、中国との良好な関係も、ある程度は維持していくであろう。
 しかしロシアには、中国と同盟を組んで欧米と対決するつもり等ない。ロシアが欧米を敵に回してまで、中国を助けるような事はないだろう。

世界の敵.
 その一方、米露首脳会談に先立って開かれた、先進7カ国首脳会議(G7サミット)と、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に於いて、中国と習主席こそが『世界の問題児』と認定されてしまった。関係各国が一致団結して中国問題に対処していく事が西側主要国のコンセンサスとなった。
 国内の人権侵害と対外的覇権主義政策の推進を止めない限り、習主席の中国が、『世界の敵』となる日もそう遠くないだろう。

●結局中国は、四面楚歌の国。


★産経ニュース『【石平(セキ・ヘイ)のChina Watch】旧友・ロシアに袖にされ…』(2021/6/24)、より.
★上記へのリンク https://www.sankei.com/article/20210624-6QWAQAG7B5KNFMAJOTZ3WCX2XI/

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