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【トホホな軍隊】

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、習近平・国家主席との会談で、「核と弾道ミサイルの完全で検証可能、かつ不可逆的な廃棄を実行する」と公約し、見返りに『体制保障』と『段階的な朝鮮半島の非核化』を求めた。
 この『取引』には落とし穴がある。『段階的』とは『時間稼ぎ』を、『朝鮮半島の非核化』とは、『(核抑止力を伴っている)在韓米軍の漸減➜撤退』を意味している。
 しかし在韓米軍が撤退したのち韓国軍だけで、朝鮮戦争が終了していない(休戦中)韓国を守ることができるだろうか。

「韓国軍だけが私の悩みだった」と語る米将軍.
 1950年6月、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)が突如38度線を南下・突破し、朝鮮戦争が始まった。
 朝鮮人民軍の怒濤の南侵で、米韓軍は最南端の釜山まで追い詰められたが、9月、国連軍が仁川に上陸して形成が逆転した。国連軍は中朝国境にまで北上したが、10月、中国・人民解放軍の参戦により、南方に押し戻された。

 朝鮮戦争で国連軍司令官だったリッジウェイ将軍(この後、マッカーサー元帥の後任として第2代連合国軍最高司令官になった)の回顧録には、頻繁に逃げ出した韓国軍への怒りに満ち溢れている。
 その回顧録には、『韓国軍の態度だけが私の悩みだった。進撃する中国軍は韓国軍部隊を次々と敗走させ、その度に韓国軍は、高価で補充困難な多数の(米国供与の)装備を放棄した』、また、『退却する韓国軍が放棄した装備は、肩をすくめるだけで済むものではなかった。それは完全装備の数個師団を充分に装備できた』とある。
 つまりは、人民解放軍が韓国軍から鹵獲(ろかく)した米国製の兵器で、米国の兵士が殺されたことになる。
 その様な状況になっても未だ、韓国の李承晩(イ・スンマン)大統領はメンツに固執し、「非武装の巨大な韓国の人的資源を米国の武器で武装させれば、米軍の兵員は少なくて済む」、と言い張った。
 そもそも戦争勃発時、李大統領自身が国民や将兵を置き去りにし、韓国南部へと『三十六計』を決め込んだ不適格者だった。
 一国の指導者を“先頭”に、敵前逃亡を繰り返す韓国軍の歴史を、米軍将校は戦史教育課程で学んでいる。今なお、韓国軍に不信感を抱いているのは当然だ。

逃げまくる韓国軍.
 人民解放軍は、攻撃目標を米軍・英軍・トルコ軍(国連軍)の防衛担任区域ではなく、常に弱い韓国軍の守備区域に絞り、その都度、韓国軍は総崩れ➜潰走を続けた。リッジウェイ将軍は『韓国軍はずし』さえ視野に入れていたらしい。
 戦に於いて、仮に左翼の韓国軍が防衛線を勝手に放棄すれば、右翼に陣取る友軍が脇腹を急襲される。軍事用語で『側背を衝かれる』と言い、絶対に避けねばならぬ下策中の下策だ。
 近々予定の米朝首脳会談にもよるが、万一朝鮮戦争が再開され、中国が朝鮮半島有事で米国の敵に回れば、人民解放軍と朝鮮人民軍は朝鮮戦争の時と同様、弱い韓国軍を狙い撃ちするだろう。

米大統領に「軽薄男」と呼ばれた韓国大統領.
 かつて北朝鮮が、核拡散防止条約(NPT)脱退し(2003年)、核兵器製造を公式発表した頃、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(1946~2009年)は、南北融和に向けた自主外交路線を念頭に、米国を揺さぶろうと次の様な『バランサー論』を述べた。「私たちは今後、朝鮮半島のみならず、北東アジアの平和と繁栄のため、『バランサー』の役割を果たしていく。私たちがどのような選択をするかによって、北東アジアの勢力図は変化するだろう」と。
 当時の゙ョージ・ブッシュ大統領(子)は、ホワイトハウス内で大言壮語が目立つ盧大統領を「軽薄男」と呼んでいたが、米国は盧大統領の『バランサー論』に対し、「北東アジアのバランサー論は米韓同盟と両立できないコンセプトだ」、と怒りを露わにした。
 盧政権は米国の強硬姿勢に大慌てで、対米懐柔に奔走。揚げ句の果てに、米韓自由貿易協定(FTA)締結やイラク派兵など、ブッシュ政権の主要要求を全て受諾した。
 自身の力を認識できぬ韓国の歴代政権は、同種の過ちを繰り返している。かくして、日米と中朝の間を「顔色」を見ながら行ったり来たりしている。盧・元大統領を師匠と仰ぐ文在寅(ムン・ジェイン)大統領もまた然り。

 金委員長に前のめりになっている文大統領。『日米韓vs中朝』の勢力図が、『日米vs中朝韓』の構図になってしまう可能性が無きにしも非ず。
 そうした場合、『38度線』が対馬まで下りて来る事になる。「おぉ、こわっ。」


★産経ニュース『【野口裕之の軍事情勢】米軍大将の亡霊がトランプ大統領の寝室で「在韓米軍撤退」を夜ごと囁く?』(2018.4.16)、より.
★上記へのリンク http://www.sankei.com/premium/news/180416/prm1804160008-n1.html

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