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【金正恩の素顔(下)】

 金正恩(キムジョンウン)委員長は経済制裁による打撃に音を上げ、先月行われた南北首脳会談に続き、6月12日予定の米朝首脳会談に乗って来たことは前回述べた。
 お膳立てをしたのは、文在寅(ムン・ジェイン)政権内の従北朝鮮勢力だ。

中国の力を借りる.
 金委員長は当初、韓国の文政権を利用してアメリカを上手く騙そうとした。
 ところが、トランプ政権内の対北朝鮮強硬派への入れ替えを目にし、「韓国だけでは心許ない」と察した金委員長は、親分である中国の後ろ楯を得ようと、3月下旬、中国を電撃訪問した。
 この際、習近平・主席は金委員長に対し、尊敬語の「あなた」ではなく、目下扱いの「きみ」呼ばわりして接した。
 そこまでされても中国の力を借りなければアメリカに対抗できない、というのが北朝鮮の現状だ。

米朝首脳会談に向けての戦略.
 そうして中国の後ろ楯を得た金委員長は、米朝首脳会談に向けての作戦を練る。
 民主主義国家の大統領にとって、最大の弱点は選挙だ。
 今年11月の中間選挙を控えたトランプ政権。その支持率は余り高くない。しかしそれでも、2020年の大統領選挙では再選を果たしたい。
 そこに焦点を合わせてトランプ大統領をたらし込む、というのが金正恩・文在寅両氏の策略だろう。

 具体的には、IAEA(国際原子力機関)の査察受け入れなど、非核化に向けたプロセスを提示してトランプ大統領に得点を稼がせ、中間選挙を有利に戦えるようにしてやる。その代わりに、制裁解除や経済支援を求める。これが第一段階。
 続いて、核廃棄後に残される高濃縮ウランの平和的な使い道を、2020年までに明示すると持ちかけ、両国の連絡事務所設置と平和協定締結を要求する。これが第二段階だ。

米朝首脳会談の行方.
 米朝首脳会談に向けた両国の事前協議に於いて、北朝鮮は、アメリカの求める手法による核の全面廃棄に応じる姿勢を示しているという。
 更に、北朝鮮は、核兵器の査察にも初めて応じ、大陸間弾道ミサイルの廃棄も行う意向だという。
 一方、核の全面廃棄に要する期間や北朝鮮への「見返り」について、意見の食い違いが未だ残っており、協議や会談の行方によっては予断は許されない。
 米朝首脳会談で、金委員長がアメリカを満足させる程の非核化の意思を示さない場合、トランプ大統領は本気で、軍事オプションを取る構えを見せるだろう。
 北朝鮮が国内にある核全てを、アメリカやIAEAの管理下に置くところまで譲歩しなければ、トランプ大統領は納得すまい。北朝鮮の核を容認するとなったら、アメリカの世界戦略は崩壊してしまう。
 トランプ大統領は手を緩めずに追撃し、北朝鮮の核を完全に放棄させる必要がある。
 金委員長が非核化の具体的行動を見せるまで、アメを与えるべきではない。
 交渉に入っても、経済制裁と軍事的圧力を加え続ける必要がある。
 文政権の「金正恩救出作戦」惑わされて時間を与えてしまえば、アメリカは取り返しのつかない敗北を味わうことになるだろう。

●金委員長が核やミサイルを手放すことはあるまい。となると・・・ 若しかしたら【金正恩/終の棲家は/ロシアかな】(2017/09/30) だったりして。


★「アサヒ芸能」5.24日号『金正恩「裸の王様」の愚かなる素顔(下)』、より.

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