SSブログ

【中国、転落の始まり】

 人口動態から中国の未来を予測した、「未来の中国年表」(近藤大介著、講談社現代新書)によると、栄華の中国には「人口の落とし穴」があった。

14億中国人の「爆消費」.
 米トランプ政権が、中国製品に関税をかけたり、中国からの投資に規制をかけたりと、「形振り構わぬ」格好で、中国潰しに掛かっている。
 現在、中国は、アメリカの約4・2倍の人口を擁している。
 経済規模(GDP)については、2023~2027年の間に、中国はアメリカを抜いて世界ナンバー1の経済大国になるだろう。
 消費に関しては、14億中国人の「爆消費」が、世界経済を牽引していくのは間違いない。

「一人っ子政策」の弊害.
 では近未来の世界は、中国の天下になっているかというと、必ずしもそうではないようだ。
 EU28ヶ国、ASEAN10ヶ国の、それぞれ2倍以上の人口を擁する中国は、悩みも又2倍以上なのだ。
 中国は1978年に始まった改革開放政策に伴い、2013年まで「一人っ子政策」を続けたが、21世紀に入ると、「一人っ子政策」の弊害が多方面に現れてきた。
 その最たるものが、男女の人口差で、特に農村部では、働き手を確保するために男児の出産が優先され、子供の男女比が、120対100にまで開いてしまった。
 国連ではその比率が107までを「正常国家」と定めている。この基準からすると、中国は明らかに「異常国家」である。
 その結果、2年後の2020年には、結婚適齢期の男性が、女性より3,000万人も多い社会になる。
 結婚に溢れた青年は「剰男(シエンナン)」(余剰の男)と呼ばれ、嫁を探しにアフリカまで出かける「剰男」もいる。
 更には、結婚を諦めた「空巣青年(コンチャオ・チンニエン)」も急増中とのこと。「空巣青年」とは、親元を離れて都会で一人暮らしをし、スマホばかりを見て引き籠もっている青年を意味する。

離婚の増加.
 結婚が難しいというに、離婚が増加している。2024年になると年間600万組が離婚する、とのこと。
 何故これほど離婚が多いのか、その大きな理由として「一人っ子政策」の弊害が挙げられる。
 「一人っ子」は男児なら「小皇帝」、女児なら「小公主」(公主=皇女)として、贅沢かつワガママに育つ。そんな彼らが結婚しても、我慢するのが苦手なので離婚してしまいがちなのだ。
 更に、中国特有の離婚も急増中で、それは「マンション離婚」と呼ばれている。
 マンション投資が過熱して価格が急騰すると、庶民はマンションが買えなくなる。そのため政府は、「一家庭に1軒のみ」とのマンション購入制限令を出した。ならばと庶民は、「離婚して二つの家庭になれば、マンションが2軒買える」と言う訳で、「マンション離婚」が急増したのだ。流石、「上に政策あらば、下に対策あり」の中国なり。

新大国インド、老大国Chinaを追い抜く.
 国連の「世界人口予測 2015年版」によれば、2050年、中国の60歳以上の人口は、約6億2千万人となる。2050年になると、中国は人類史上初の、恐るべき高齢社会となる。
 しかし現時点に於いて、中国には介護保険もないし、国民健康保険すら十分に整備されているとは言えない。
 そのため中国では、「未富先老(ウェイフー・シェンラオ)」(未だ富まないのに、先に老いていく)、という嘆き節が流行している。
 近未来の中国は、少子高齢化社会になる。

 そうした「老いてゆく中国」を横目に、虎視眈々とアジアの覇権を狙っているのが、インドである。
 インドは6年後の2024年、中国を抜いて世界一の人口大国になる。
 2050年になると、インドでは15歳~59歳の「労働人口」が、中国より3億3,800万人ほど多くなる。2050年のインドは中国と違い、若いままなのだ。
 つまり中国は、経済規模に関して言えば、21世紀に入って漸く日本を抜き去ったと思いきや、直ぐに、インドという巨大な強敵を目の当たりにする事になる。
 中国は、2049年に建国100周年を迎える。その時、6億人もの老人(上記参照)が、しわくちゃの笑顔を見せているのだろうか。


★「週刊現代」(7/14号=先週号)『栄華は一瞬だった・・・・・そして中国の転落が始まる』(「週刊現代」編集次長・近藤大介氏)、より.

nice!(0)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。