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【習近平体制に“異変”あり】

独裁体制の盛衰.
 習近平・国家主席は、今年3月の全国人民代表大会(国会に相当)で、国家主席の任期を撤廃し、2023年以降の続投に道を開いた。
 以後、党規約や憲法に明記された習主席の政治思想は、全国の学校や職場での学習が推進され、習主席の著作はベストセラーとなり、「習近平語録」が出回るなど、建国の父・毛沢東以来の個人崇拝が広がっていた。

 ところが7月以降、習近平・独裁体制に異変が起きている。
 共産党機関紙の人民日報などの官製メディアの1面から、習主席の名前が消える日が増えた。
 先週、「屋内外の習主席の写真やポスターを即刻撤去するように」、という警察の指示文書がインターネット上に拡散した。
 北京や上海などの街中の歩道橋などに掲げられた、習近平著「中国の夢」や「偉大なる復興」といった、習近平語録の横断幕も外され始めた。
 今月初め、女性が上海市内で、「独裁、暴政に反対する」と叫びながら、習主席の写真に墨汁をかける動画が出回った。
 また、陝西(せんせい)省の政府系研究機関・社会科学院で、習主席の思想・業績を研究するプロジェクトが突然中止された。同様のケースが相次いでいるという。

対抗勢力の顕在化.
 何よりも目立ったのは、習主席の政治路線と距離を置く李克強(り・こくきょう)首相の存在感が俄に高まったことだ。李首相が7月上旬、訪問先のドイツでメルケル首相と会談した直後、ノーベル平和賞受賞者・故劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏の妻で、中国当局に長年軟禁されていた劉霞(りゅう・か)氏のドイツへの出国が認められた。
 共産党一党独裁体制を強化したい習主席は、一貫して民主化運動や人権活動家に対して厳しい姿勢を取っており、「劉霞氏の出国を認めない」としていた。今回、李首相の主導で劉霞氏の出国が実現したことは、習主席の党中央に於ける絶対的な地位が揺らぎ始めたことを意味している。

米中貿易戦争の打撃.
 3月に勃発した米中貿易戦争は、中国の経済に深刻な打撃を与えた。習主席は自らの側近、劉鶴(りゅう・かく)副首相を責任者にして、米国側との交渉を重ねたが、失敗を繰り返した。
 「米中貿易戦争を止めなければ、中国の経済が破綻する」、といった危機感が共産党内に広がり、習政権の民族主義を煽る外洋拡張路線などが、米中貿易戦争を招いたとの声も出始めている。

党内からの突き上げ.
 今年7月初め、江沢民(こう・たくみん)、胡錦濤、朱鎔基(しゅ・ようき)、温家宝(おん・かほう)各氏らの党長老が、連名で、党中央に経済・外交政策の見直しを求める書簡を出した。その書簡では、「党内は今、個人崇拝や左派的急進主義などの問題があり、早急に改める必要がある」としている。
 1976年10月、毛沢東氏の後継者として、中国の最高指導者の地位に就いた華国鋒氏は、自らに対する個人崇拝の提唱や独断的な経済政策を推進したため、当時の党内の実力者、鄧小平(とう・しょうへい)氏らの長老派と対立した。
 1978年末に開かれた党の中央総会で、華氏が推進する政策が実質的に否定された後、影響力が低下し始めた。華氏はその後も、党内から批判され続け、側近が次々と失脚する中、約3年後に自らが辞任する形で政治の表舞台から去った。
 今年7月末から8月中旬にかけ、河北省の避暑地・北戴河(ほくたいが)で、党長老も参加する党の重要会議がある。その際、習派と反習派が激しく衝突する可能性あり。


★産経ニュース『習近平体制に“異変”あり 個人崇拝を抑制 北戴河会議で突き上げも』(2018.7.16)、
★上記へのリンク http://www.sankei.com/world/news/180716/wor1807160051-n1.html

★産経ニュース『【矢板明夫の中国点描】「習近平降ろし」がついに始まった 40年前の失脚劇と類似…』(2018.7.18)、
★上記へのリンク http://www.sankei.com/premium/news/180718/prm1807180005-n1.html
より.

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