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【三種の神器】

 三種の神器とは、皇位の証(しるし)として、代々の天皇が伝承する三つの宝物、即ち、八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)を指す。天孫降臨に際し、天照大神から授けられた、とされている。
 先ずは、出雲大社から話を進めよう。

出雲大社.
 古事記の「国譲り神話」に、大国主命(おおくにぬしのみこと)が、出雲の国を天照大神(あまてらす・おおみかみ)に譲る交換条件として、超高層(高さ48m)の出雲大社の本殿を建てさせた、とある。
 日本海沿岸には、巨大建造物の遺跡が多い。例えば、青森の三内丸山遺跡の大型掘立柱建造物は、高さ約23mもある。漁民や海運船に対して航海の目印、つまり、灯台として機能していた、と考えられる。

弥生時代、日本の中心は出雲だった.
 その根拠は、
●大量の青銅器の出土.
 1984年、出雲市の荒神谷(こうじんだに)遺跡で、大量の銅剣(358本)が発掘された。更に近くの遺跡で、数多の銅鐸・銅矛が発掘された。
 発掘された大量の青銅器は、弥生時代、巨大権力が出雲に存在していた事を推測させる。
●天然の良港の存在
 宍道湖(しんじこ)や中海(なかうみ)は天然の良港で、日本海を行き交う船が立ち寄っていた。更に、文明の地である大陸との交易船も行き交い、莫大な富がもたらされた。
 等が挙げられる。弥生時代、日本の中心は出雲だったのではなかろうか。

「八岐大蛇(やまたのおろち)伝説」は、鉄を巡る戦い.
 古事記にある「八岐大蛇伝説」には、「天照大神の弟である素戔嗚尊(すさのおのみこと)が、民を苦しめる八つの首を持った大蛇・八岐大蛇を退治し、大蛇の尾から剣を取り出した」、とある。この剣が、草薙剣である。
 また古事記には、八岐大蛇の形状を、「目は酸漿(ほおずき)の様に赤くて燃え盛っている」とある。これは、たたら製鉄の溶鉱炉下部側面に開いている2つの穴から噴き出す紅蓮の炎を表しているのかも。
 更に古事記には、「八岐大蛇を切り倒すとその尾から、鉄の剣が現れた」とある。これは、溶鉱炉の底部に溜まった銑鉄から、鉄の剣が創られる事を示していると考えられる。
 つまり、八岐大蛇はたたら製鉄の溶鉱炉だった、と考えられる。

 当時、朝鮮半島の鍛冶集団・「韓鍛冶(からかぬち)」が、良質の砂鉄を求めて出雲にやって来た。そこで、出雲に住んでいた農耕民族と韓鍛冶との間で、鉄を巡る戦いが起きた。
 つまり八岐大蛇の伝説は、素戔嗚尊(=農耕民族)と八岐大蛇(=韓鍛冶)との間で繰り広げられた、鉄を巡る戦いの記録かも知れない。

夢枕獏氏の、「三種の神器」論.
 さて、いよいよ話は、「三種の神器」に至る。
 このTV番組の〆で、ゲストの夢枕獏氏が、「私論であるが・・・」と断りながらも、興味深い「三種の神器」論を展開されていた。
●「三種の神器」の一つ、「八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)」は、縄文時代から古墳時代に亘って作られた祭祀用具・装身具で、日本独自に発達したもので、縄文の精神性を象徴している。
●「三種の神器」の一つ、「八咫鏡(やたのかがみ)」は太陽神を表しており、大和朝廷を象徴している。
●「三種の神器」の一つ、「草薙剣(天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ))」は、八岐大蛇伝説の地・出雲の象徴ではないか。

 つまり、「三種の神器」の曲玉・鏡・剣は、縄文時代から日本の二大勢力圏であった大和・出雲を含む、日本全土を支配する権力の象徴である。

●なーるほど。氏の慧眼に、賛辞を送りたい。


★BS-TBS『諸説あり!神話の国・出雲大社』(2018.8.11放送)、より.

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